2026年9月7日、弁護士法人・響が、オンラインオリパ事業者について消費者庁へ申出手続きを行ったと発表した。
オンラインオリパとは、インターネット上でポイントを購入し、ランダムにトレーディングカードなどが当たるサービスを指す。
弁護士法人・響は、還元率や当選確率、カードの市場価値、当たりの残数などが利用者から見えにくいと指摘。
特定商取引法や景品表示法、消費者契約法に違反する可能性があるとして、調査や対応を求めている。
専用Xでは、DOPA!オリパ、オリパワン、日本トレカセンター、エクストレカ、オリくじ、クローブオリパ、ポケットクロスの名前が掲載された。
ただし、消費者庁による違法認定や行政処分が出たわけではない。
7サービスが詐欺を行ったと確定した事実もない。
この記事では、弁護士法人・響が消費者庁へ申出を行った理由、名前が挙がった7サービス、オンラインオリパの仕組み、違法性や返金の可能性について整理する。
弁護士法人・響が消費者庁へ申出
弁護士法人・響は2026年9月7日、公式サイトで「消費者庁に対して、オリパ業者の調査などをお願いする申出手続を行った」と発表した。
専用Xでは、オンラインオリパ市場が急速に拡大する一方、業界に特化した実効的な規制や監督の仕組みが十分ではないと説明している。
響側が問題として挙げているのは、主に次の点となる。
- 還元率の計算根拠が分かりにくい
- 当たりカードの本数や残数を外部から検証しにくい
- カードの価値を何の相場で計算しているのか不透明
- 不要なカードをポイントへ戻し、繰り返し利用させる構造
- 派手な演出や高還元表示によって継続的な課金を誘う仕組み
- 特定商取引法に基づく事業者情報や連絡先に関する問題
- 商品が届かない、ポイントが消えたとする相談
- 運営会社と連絡が取れなくなる事例
響側は、個人の利用額が数百万円に達するケースは珍しくなく、数千万円や億単位に及ぶとの相談もあると主張している。
この被害額は、行政機関が調査して確定した統計ではなく、響側が相談状況などを基に示した内容となる。
申出をしただけで違法認定ではない
今回行われたのは、特定商取引法に基づき、消費者庁へ調査や適切な措置を求める申出手続とされている。
申出制度は、取引の公正や消費者の利益が害される恐れがある場合に、その内容を行政機関へ伝える仕組みだ。
申出を受けた消費者庁は、提供された資料や情報を確認した上で、調査、行政指導、処分などの必要性を判断する。
したがって、現段階で確定しているのは「弁護士法人が問題を申し出た」という事実までとなる。
次のような事実は、2026年9月9日時点では確認されていない。
- 消費者庁が7社の違法行為を認定した
- 7社に措置命令や業務停止命令を出した
- 事業者や代表者が刑事告訴された
- 警察が詐欺事件として捜査を開始した
- オリパ利用者全員への返金が決まった
行政調査が始まったとしても、その内容や途中経過が公表されない場合がある。
申出と行政処分、刑事事件、民事上の返金請求はそれぞれ別の手続となる。
名前が挙がったオンラインオリパ7サービス
弁護士法人・響の専用Xで掲載されたのは、次の7サービスとなる。
1.DOPA!オリパ


- 運営会社: 株式会社sinsa
- 代表責任者: 長谷川遼
- 所在地: 神奈川県藤沢市
ポケモンカードやワンピースカードなどを扱う大規模なオンラインオリパサービス。
動画演出を用いた開封体験や、不要カードをポイントへ還元できる仕組みを採用している。
2.オリパワン


- 運営会社: 株式会社KECAK
- 代表取締役: 原徹也
- 所在地: 東京都中央区
低価格帯から高額帯まで幅広いオンラインオリパを展開。
テレビCMやSNS広告などを通じて認知を広げてきた。
3.日本トレカセンター


- 運営会社: 株式会社日本トレカセンター
- 代表取締役CEO: 大山敏浩
- 所在地: 東京都中央区
トレーディングカード以外の商品も扱う大手オンラインオリパサービス。
2026年8月には、一部オリパについて提供割合と排出履歴を公開する取り組みを発表している。
4.エクストレカ


- 運営会社: 株式会社ミライラボラトリー
- 代表取締役: 中村友哉
- 所在地: 東京都千代田区
ポケモンカードやワンピースカードなどを扱い、ポイントを購入してオンライン上でオリパを引くサービスを提供している。
5.オリくじ


- 運営会社: 株式会社H&F
- 代表取締役: 安部直希
- 所在地: 富山県高岡市
無料ガチャやログインボーナス、ポイント制のオンラインガチャなどを展開。
公式サイトには特定商取引法に基づく表記や古物商許可番号が掲載されている。
6.クローブオリパ


- 運営会社: 株式会社トラストハブ
- 代表取締役: 大懸剛貴
- 所在地: 東京都千代田区
鑑定済みカードや高額カードを扱うオンラインオリパとして展開。
実物のカードを発送してもらうほか、ポイントへ交換する仕組みがある。
7.ポケットクロス


- 運営会社: ポーション株式会社
- 販売担当責任者: 山田敬士
- 所在地: 東京都渋谷区
ポケモンカードやワンピースカードを中心に扱うオンラインオリパサービス。
ログインボーナスや会員ランク、ポイント制などを採用している。
この7サービスは、響側が調査対象に関係する事業者として名前を挙げたものであり、行政処分を受けた事業者一覧ではない。
各サービスは公式サイトで運営会社、所在地、連絡先、販売条件などを掲載している。
表記が存在することと、個々の広告や販売方法が法令に適合しているかは別の論点となる。
オンラインオリパとは?
オリパは「オリジナルパック」の略称で、カードショップや事業者が独自にカードを組み合わせて販売する商品を指す。
実店舗のオリパでは、封筒や袋に入った商品を購入し、開封するまで中身が分からない形式が一般的となる。
オンラインオリパでは、この仕組みがインターネット上で提供される。
利用の流れは次のような形が多い。
- サービスへ会員登録する
- クレジットカードなどでポイントを購入する
- ポイントを使ってオリパを引く
- 画面上で当選したカードを確認する
- 実物の発送を申請するか、ポイントへ交換する
- 交換したポイントで再びオリパを引く
公式メーカーが販売する未開封パックとは異なり、封入カードの内容、口数、販売価格、当たり枠などは事業者が設定する。
オンライン上ではカードの現物や抽選システムを直接確認できないため、事業者が示す情報が利用判断の大きな材料になる。
還元率98%や100%の意味
オンラインオリパでは「総還元率98%」「還元率100%超」などの表示が使われることがある。
一般的な総還元率は、次のような考え方で算出される。
封入されている商品の評価総額÷全口を購入した場合の販売総額×100
例えば、1口1,000円、全1万口のオリパであれば、販売総額は1,000万円となる。
封入カードの評価総額が980万円なら、計算上の総還元率は98%となる。
ただし、これは全口を買い切った場合の全体的な理論値であり、1人の利用者が購入額の98%を取り戻せるという意味ではない。
さらに、カードの評価額を販売価格で計算するか、実際の買取価格で計算するかによって数字は変わる。
カードの状態、鑑定結果、相場変動、参照店舗によっても評価額に差が出る。
高額カードが少数含まれていれば全体の還元率は高く見えるが、そのカードを引けなかった利用者の結果は大きく下回る可能性がある。
景品表示法が問題になる可能性
オンラインオリパで大きな論点となるのが景品表示法だ。
景品表示法は、商品の内容や取引条件について、実際よりも著しく優良または有利だと消費者に誤認させる表示を禁止している。
例えば、次のような表示と実態が食い違っていた場合に問題となる可能性がある。
- 「当たり10本」と表示しながら実際には10本入っていない
- 排出済みの当たりを「残っている」と表示する
- 低い価値のカードを高額な市場価格として計算する
- 傷のあるカードを美品相当の価格で評価する
- 根拠のない還元率を表示する
- 「必ず得をする」と誤解させる表現を使う
一方、表示された当たりが実際に封入され、価格の計算方法や販売条件が明確であれば、当たりを引けなかったことだけで景品表示法違反になるわけではない。
特定商取引法では何が問われる?
オンラインオリパはインターネット通販の一種として、特定商取引法上の表示が問題になる。
通信販売では、事業者名、住所、電話番号、販売価格、送料、支払方法、商品の引渡時期、返品条件などを表示する必要がある。
法人の場合は、代表者または通信販売業務の責任者の氏名も表示対象となる。
住所については、単に登記上の住所を掲載するだけでなく、実際に事業活動を行い、連絡や通知を受けられる状態かが論点になる。
響側は、一部のオリパ事業者がバーチャルオフィスを所在地としており、通知書を送っても責任者や事業実態へたどり着けないケースがあると主張している。
バーチャルオフィスの利用そのものが直ちに違法になるわけではない。
掲載された住所や電話番号を通じて確実に事業者へ連絡できるか、実際の運営実態と表記が一致しているかが個別に判断される。
オリパは賭博や詐欺になる?
オンラインオリパは、代金を支払うと何らかの商品が提供されるため、通常の商品売買として設計されている。
そのため、当たり外れがあるという理由だけで直ちに賭博や詐欺になるわけではない。
ただし、最初から当たり商品が存在しないのに存在するように表示して販売した場合や、抽選結果を意図的に偽り、利用者から代金を支払わせた場合には、詐欺罪が成立する可能性が生じる。
詐欺罪として扱うには、事業者が虚偽を認識しながら利用者をだましたことや、その説明を信じて利用者が支払ったことなどの立証が必要となる。
弁護士法人・響は、調査結果や証拠次第で民事訴訟や刑事告訴も検討するとしているが、現時点で7社を詐欺罪で告訴したとは発表していない。
利用者は返金されるのか
消費者庁が調査を始めたり、事業者へ行政処分を出したりしても、利用者へ自動的に全額返金されるわけではない。
返金請求では、個々の利用状況や広告表示、決済記録、受け取ったカード、ポイント交換の履歴などが確認される。
返金の論点になり得るのは、主に次のようなケースとなる。
- 表示されていた当たりが実際には存在しなかった
- 当たり本数や残数が事実と異なっていた
- 還元率やカード価値について重要な虚偽表示があった
- 商品の発送を申請したのに届かなかった
- 購入したポイントが説明なく消失した
- 事業者と連絡が取れず、契約内容が履行されない
- 未成年者が保護者の同意なく高額決済した
単に希望するカードが当たらなかった、結果的に購入額よりカードの買取額が低かったという事情だけでは、返金理由として認められない場合がある。
消費者契約法に基づく取り消し、事業者との返金交渉、民事訴訟、カード会社へのチャージバック申請など、手続きごとに要件と判断主体が異なる。
弁護士法人・響の概要
- 法人名: 弁護士法人・響
- 設立: 2014年4月22日
- 所属: 第二東京弁護士会
- 代表弁護士: 西川研一
- 所在地: 東京都新宿区北新宿
- 主な取扱分野: 債務整理、交通事故、労働問題、離婚、相続、刑事事件など
- オリパ相談窓口: 0120-557-869
弁護士法人・響は、債務整理や借金問題に関する広告で知られる法律事務所となる。
今回の発表と同時に、オンラインオリパ専用のXアカウントや相談窓口を設け、LINEによる無料相談や返金診断を案内している。
返金の可否や回収額は事案ごとに異なり、相談を行った全員に返金が認められる制度ではない。
消費者庁への申出までの時系列
2026年8月31日
弁護士法人・響の専用Xが、オンラインオリパの還元率、商品の発送、ポイント消失などに関する相談受付を告知する。
9月7日
弁護士法人・響が公式サイトで、消費者庁に対してオリパ事業者の調査などを求める申出手続きを行ったと発表する。
専用Xでは「上位5社」と表現しながら、DOPA!オリパ、オリパワン、日本トレカセンター、エクストレカ、オリくじ、クローブオリパの6サービスを掲載する。
9月8日
専用Xで、ポケットクロスの運営会社と責任者名を7番目として掲載する。
9月9日
専用Xで名前が挙がったサービスは合計7つとなる。消費者庁による違法認定や行政処分は公表されていない。
今後はどうなる?
最初の焦点は、消費者庁が申出内容をどのように扱うかとなる。
表示や販売方法に問題があると判断されれば、事業者への事情確認、資料提出の要求、行政指導、措置命令などへ進む可能性がある。
特に確認対象となり得るのは、還元率の算定資料、当たりカードの仕入れや在庫、抽選システムの記録、排出履歴、販売画面の表示、ポイントや発送の管理状況などだ。
民事面では、弁護士法人・響が利用者から証拠を集め、事業者や決済関係会社との返金交渉、損害賠償請求、集団的な訴訟などを検討するとみられる。
刑事告訴へ進むかどうかは、当たりの不存在や抽選結果の操作など、故意の欺罔行為を示す証拠が確認されるかによって変わる。
業界側では、提供割合、排出履歴、価格の参照元、当たりの残数などを公開する動きが広がる可能性がある。
まとめ
2026年9月7日、弁護士法人・響がオンラインオリパ事業者について、消費者庁へ調査などを求める申出手続きを行った。
専用Xでは、DOPA!オリパ、オリパワン、日本トレカセンター、エクストレカ、オリくじ、クローブオリパ、ポケットクロスの7サービスが掲載されている。
響側は、還元率や当たり確率、カード価値、残数表示、事業者情報などに問題がある可能性を指摘。
民事訴訟や刑事告訴、法整備も検討するとしている。
一方、消費者庁による違法認定や行政処分は出ておらず、7サービスが詐欺を行ったと確定したわけではない。
オリパという販売形態自体が一律に違法なのではなく、広告表示と実際の封入状況、抽選システム、事業者情報、商品発送などが一致しているかが中心的な論点となる。
返金についても、単に当たりを引けなかったという理由だけで認められるものではない。
表示と実態の相違や契約不履行などを、利用履歴や決済記録から個別に確認することになる。
今後は、消費者庁が調査へ進むのか、各事業者がどのような説明を行うのか、返金交渉や訴訟が実際に提起されるのかが焦点となる。

