香川大学名誉教授で法学者の高倉良一氏が、SNSで知り合った女性を名乗る人物からロマンス詐欺被害を受け、約925万円をだまし取られていたことが明らかになった。
高倉氏は法律を専門とする研究者として長年大学で教壇に立ち、法教育や社会教育に携わってきた人物である。
しかし、「自分は騙されない」という思い込みや孤独につけ込まれ、典型的なロマンス詐欺と投資詐欺が組み合わされた手口によって多額の資金を失った。
その後、自身の体験を公表し、2026年には『70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか』を出版。
現在は詐欺被害防止の啓発活動にも取り組んでいる。
高倉良一氏について

プロフィール
高倉良一(たかくら りょういち)
- 生年月日:1956年
- 年齢:70歳(2026年時点)
- 出身地:鹿児島県
- 職業:法学者、香川大学名誉教授
- 最終学歴:九州大学大学院法学研究科修了
- 学位:法学修士
- 資格:国家資格キャリアコンサルタント、イトオ・テルミー療術師
- 専門分野:法教育、社会科教育、人間性心理学
- 家族構成:離婚歴あり、子どもは成人
人物像
高倉良一氏は、長年にわたり香川大学教育学部で法教育や社会科教育を研究してきた法学者である。
九州大学法学部を卒業後、同大学大学院法学研究科を修了し、1984年から九州大学法学部助手として研究生活をスタートさせた。
1986年に香川大学教育学部へ着任し、講師、助教授を経て2001年に教授へ昇任。
法教育や人権教育、社会科教育などを専門とし、多数の論文や著書を執筆してきた。
2020年には香川大学を定年退職し、名誉教授となっている。
経歴
1984年から1986年まで九州大学法学部助手を務めた。
1986年に香川大学教育学部助手へ着任。
1987年に講師、1988年に助教授へ昇任した。
2001年からは香川大学教育学部教授として法教育や社会科教育を担当。
2020年2月15日には香川大学教育学部で定年退職記念最終講義を行い、長年の教育・研究生活に一区切りをつけた。
退職後も法教育やキャリア教育などの講演活動を続けていた。
主な著書
高倉氏は法教育に関する研究者として複数の著書を手掛けている。
代表的な著書・監修書は次の通り。
・『現代家族法の諸問題「夫婦財産制の理念と課題」』(共著)
・『法教育・社会科教育とその周辺』(監修)
2026年には、自身のロマンス詐欺被害をまとめた
『70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか』
を出版し、大きな話題となった。
事件の概要
高倉氏が被害に遭ったのは2024年5月から9月にかけてである。
Facebookを通じて「愛子」と名乗る女性から連絡を受けたことがきっかけだった。
女性は中国・深圳在住の日中ハーフを名乗り、高倉氏へ毎日のようにメッセージを送るようになった。
やり取りを重ねるうちにLINEへ移行し、恋愛感情や信頼関係を築いたあと、「伯父から教わった投資」を紹介。
指定された投資アプリへ送金するよう勧められた。
高倉氏は利益が表示されるアプリを信用し、約4か月で総額925万円を送金した。
ロマンス詐欺の手口
犯人グループは典型的な「ロマンス詐欺」と「投資詐欺」を組み合わせた手口を使っていた。
最初は投資の話をせず、高倉氏の人生や夢について共感を示し、心理的な距離を縮めた。
その後、「兄さん」と呼ぶなど親密さを演出し、自身の婚約破棄経験を打ち明けることで信頼関係を築いていった。
十分に信用を得た段階で、「伯父から教わった投資」を紹介。
専用アプリには巨額の利益が表示され、高倉氏は本当に利益が出ていると信じ込んだ。
しかし、その利益表示は偽物だった。
「愛子」と名乗る女性とは

「愛子」は37歳、中国・深圳在住の日中ハーフを名乗っていた。
Facebookで高倉氏へメッセージを送り、「断捨離が素敵ですね」などと共感を示しながら距離を縮めていった。
LINEへ移行した後は、「兄さん」と呼び、恋愛感情を抱かせるようなやり取りを続けた。
また、自ら婚約破棄された過去を打ち明け、「あなただから話せた」「運命を感じる」と語ることで心理的な依存を強めていった。
現在まで、この女性の実在は確認されておらず、詐欺グループによる架空の人物だった可能性が高い。
925万円を失うまでの経緯
高倉氏は2024年5月20日に最初の5万円を送金した。
その後、アプリには約188万円の利益が表示され、「本当に儲かっている」と確信するようになる。
さらにカードローンで80万円を借りて追加送金。
銀行預金を使い果たした後は、
- カードローン
- 友人からの借金
- 親友から350万円の借り入れ
- 宝石の売却
などで資金を工面しながら送金を続けた。
最終的な被害額は925万円に達した。
銀行員の警告も信じなかった理由
350万円を送金する際、銀行の女性行員から「詐欺ではありませんか」と声を掛けられた。
しかし高倉氏は、「自分は法学者だから騙されない」「そんなはずはない」と思い込み、そのまま送金を続けた。
後に高倉氏は、自分自身の過信が被害を大きくしたと振り返っている。
詐欺に気付いたきっかけ
2024年9月30日、高倉氏はようやく詐欺だったことに気付いた。
その後、10月10日に香川県警高松北署へ被害届を提出した。
しかし、送金された資金は複数口座を経由してマネーロンダリングされたとみられ、2026年7月時点でも被害金は戻っていない。
事件の時系列
2024年5月2日
Facebookへ断捨離に関する投稿を行う。
その投稿を見た「愛子」からメッセージが届く。
2024年5月上旬
FacebookからLINEへ移行。
親密なやり取りが始まる。
2024年5月中旬
「愛子」が投資話を持ち掛ける。
「伯父」と名乗る人物とも連絡を取り始める。
2024年5月20日
最初の5万円を送金。
2024年5月下旬
アプリ上で約188万円の利益が表示される。
利益を信じ、追加送金を決意する。
2024年5月から9月
合計6回送金。
被害額は925万円に達する。
2024年9月30日
詐欺に気付く。
2024年10月10日
香川県警高松北署へ被害届を提出。
2026年6月5日
『70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか』を出版。
実名で体験を公表し、啓発活動を始める。
現在の状況
被害金は現在も戻っていない。
親友への借金は弟から借りた資金で返済し、現在は弟への返済を続けている。
2026年には自身の体験をまとめた書籍を出版し、ロマンス詐欺の危険性を伝える講演活動も行っている。
被害を隠すのではなく公表することで、同じような被害者を一人でも減らしたいという考えを示している。
高倉氏が語る「騙される理由」

高倉氏は、自身が騙された理由について「欲ではなく孤独や承認欲求だった」と分析している。
- 退職後の夢を理解してもらえたこと
- 誰かに認められたこと
- 共感してもらえたこと
これらが強い安心感につながり、冷静な判断を失わせたという。
「法学者だから騙されない」という思い込みも被害を拡大させた要因だったと振り返っている。
まとめ

香川大学名誉教授・高倉良一氏は、2024年にFacebookをきっかけとしたロマンス詐欺と投資詐欺の複合型犯罪によって925万円を失った。
犯人は恋愛感情と信頼関係を築いたうえで投資へ誘導し、偽のアプリで利益を表示するという巧妙な手口を使っていた。
銀行員から詐欺の可能性を指摘されても送金を続けた背景には、「自分は騙されない」という過信と、孤独や承認欲求があったと高倉氏自身は分析している。
現在は被害を公表し、書籍や講演を通じてロマンス詐欺の実態と心理を伝える活動を続けている。

