2026年8月22日に開催予定だった「琵琶湖三市同時花火大会」が、開催13日前となる8月9日に正式中止となった。
長浜市、彦根市、高島市の3会場から同時に1万発以上の花火を打ち上げる大規模イベントとして宣伝され、約7000円から1万9000円の有料観覧チケットが販売されていた。
ナイトマーケットや翌日の三市スタンプラリーなども告知され、多くの来場者や出店者が準備を進めていた。
しかし、名称に含まれる長浜市、彦根市、高島市はイベントへの関与を相次いで否定。
滋賀県や各市消防本部では、花火大会に必要とみられる許可申請も確認されなかった。
さらに、主催する「琵琶湖三市同時花火大会実行委員会」の構成団体や法人格、過去の大規模花火大会の運営実績は明確ではない。
チケット代や出店料の返金についても、中止発表時点で即時の全額返金は明言されず、購入者や出店者から「本当に返金されるのか」「最初から開催するつもりがあったのか」「詐欺ではないか」との疑念が広がっている。
この記事では、琵琶湖三市同時花火大会の概要、中止までの時系列、自治体と許可申請の状況、運営団体と谷中康亮氏のプロフィール、返金問題、詐欺疑惑が浮上した理由を整理する。
琵琶湖三市同時花火大会が開催13日前に中止


琵琶湖三市同時花火大会実行委員会は2026年8月9日、公式サイトとSNSを通じて大会の中止を発表した。
実行委員会は、開催日までに必要な準備と運営体制を整えることが困難になったと説明。延期や振替開催は行わず、今後も同大会を開催する予定はないとした。
開催予定日は8月22日だったため、中止発表は本番のわずか13日前となった。
すでに有料チケットを購入していた来場者だけでなく、出店料を支払い、食材、備品、人員、交通手段などを準備していた事業者にも大きな影響が出ている。
琵琶湖三市同時花火大会の概要

琵琶湖三市同時花火大会
- 開催予定日:2026年8月22日
- 開催予定地:滋賀県長浜市、彦根市、高島市の琵琶湖周辺
- 打ち上げ予定数:3会場合計1万発以上
- 観覧方式:全席指定・事前販売制
- 無料観覧席:なしと告知
- チケット価格:約7000円~1万9000円
- 付帯企画:ナイトマーケット、翌日の三市スタンプラリーなど
- 主催:琵琶湖三市同時花火大会実行委員会
- 運営統括責任者:谷中康亮
- 公式サイト:yamatanolabo.com
- 中止発表日:2026年8月9日
- 中止理由:必要な準備と運営体制を開催日までに整えることが困難になったため
- 延期・振替:なし
3市から同時に1万発以上を打ち上げる計画だった

琵琶湖三市同時花火大会は、長浜市、彦根市、高島市の3地点から同時に花火を打ち上げるとしていた。
「一夜限り、琵琶湖が立体になる」などの印象的なキャッチコピーを掲げ、琵琶湖の広大な水面を舞台にした新しい花火大会としてSNSで積極的に宣伝されていた。
3会場の合計打ち上げ数は1万発以上とされ、すべての会場が全席指定の有料観覧席となる計画だった。
無料観覧は設けず、チケットを事前購入した人だけが会場へ入れる仕組みと説明されていた。
会場周辺にはナイトマーケットを設け、翌日には長浜、彦根、高島を巡るスタンプラリーも実施すると告知。
単なる花火大会ではなく、琵琶湖周辺の3地域をつなぐ大型観光イベントのように見える構成だった。
チケットは約7000円から1万9000円
大会チケットは2026年1月下旬頃から、インターネット通販サービスのSTORESを通じて販売された。
座席や会場によって価格が異なり、手数料を含めて約7000円から1万9000円だったとされる。
花火大会としては比較的高額な価格帯だが、全席指定、無料観覧なし、3市同時打ち上げ、1万発以上という大規模な内容を前面に出したことで、チケットを購入した人もいたとみられる。
出店者からは、出店料として5万円を振り込んだとの訴えも出ている。
中止によって失われる可能性があるのはチケット代や出店料だけではなく、宿泊予約、交通費、仕入れ代、人件費、備品購入費などにも及ぶ。
長浜市・彦根市・高島市は一切関与していなかった
大会名には「三市」と入っていたが、長浜市、彦根市、高島市は主催、共催、後援などの形でイベントに関与していなかった。
開催日が近づくにつれ、市民やチケット購入者から「市が主催しているのか」「本当に開催されるのか」といった問い合わせが3市へ相次いだ。
このため3市は2026年8月6日、それぞれの公式ホームページで大会との関係を否定する異例の声明を発表した。
長浜市は、地域で従来から開催されている木之本大花火大会などの公式行事と混同しないよう注意を呼びかけた。
「琵琶湖三市同時花火大会」という名称から自治体が関係する公的イベントを連想した人もいたとみられるが、実際には民間の実行委員会が独自に企画した大会だった。
滋賀県への河川法上の許可申請が確認されず
琵琶湖で花火大会を開催し、水面や湖岸を使用する場合、内容によっては河川法に基づく滋賀県の許可が必要になる。
しかし、1万発以上の花火を3市で同時に打ち上げると告知されていたにもかかわらず、滋賀県では大会に関する必要な許可申請が確認されなかったとされる。
大規模イベントでは、会場使用、安全管理、船舶の航行、観客の誘導、交通規制、警備、周辺住民への説明など、複数の機関との事前調整が欠かせない。
開催予定日の直前まで重要な許可申請が確認できなかったことは、大会が本当に予定どおり実施できる状態だったのかという疑問を強める結果となった。
消防への火薬使用許可申請も確認されず
花火の打ち上げには、火薬類取締法などに基づく手続きが必要となる。
ところが2026年8月7日時点で、長浜市、彦根市、高島市の各消防本部では、同大会に関する火薬使用の許可申請が確認されなかったとされる。
1万発規模の花火大会であれば、通常は開催の1カ月前頃までに消防や警察などと具体的な調整を進める必要がある。
開催まで約2週間となった時点で申請が確認されなかったことから、「そもそも花火を準備できていたのか」「会場や打ち上げ業者は決まっていたのか」「本当に開催する計画だったのか」という疑念が広がった。
長浜市には2025年末から相談していた
主催者側が自治体と全く接触していなかったわけではない。
長浜市によると、2025年12月と2026年1月に、主催者側から花火大会の開催について相談があった。
長浜市は、警察や消防など必要な関係機関への許可申請を進めるよう主催者へ伝えたとされる。
しかし、その後は主催者側から市への連絡がなく、具体的な申請や調整は進まなかった。
開催相談を行った事実は、当初から全く実体のない架空イベントだったと断定できない材料の一つとなる。
一方、必要な手続きを案内されながら、その後の申請が進まないままチケット販売を続けたのであれば、運営判断の妥当性が問われる。
中止までの時系列
2025年12月 公式サイトのドメインを登録
大会公式サイトとして使用されたyamatanolabo.comのドメインが登録された。
同じ時期、主催者側が長浜市へ花火大会の開催について相談したとされる。
2026年1月 長浜市へ再度相談
主催者側が長浜市へ再度相談。市は警察や消防などへの必要な許可申請を進めるよう案内した。
2026年1月下旬頃 有料チケットの販売開始
STORESを通じて有料観覧チケットの販売を開始した。
チケット価格は手数料込みで約7000円から1万9000円。開催に必要な許可申請が完了したか明確でない段階から販売が始まっていたことになる。
2026年春から夏前 SNSで積極的に宣伝
Instagramなどで、3市同時に1万発以上の花火を打ち上げる大型イベントとして宣伝を続けた。
ナイトマーケットやスタンプラリー、全席指定の有料観覧なども告知され、出店者の募集や準備も進められた。
2026年7月末頃 3市への問い合わせが急増
市民やチケット購入者から、長浜市、彦根市、高島市へ「自治体主催の大会なのか」「本当に開催されるのか」といった問い合わせが増えた。
出店予定者からも、主催者と連絡が取れないとの相談が寄せられた。
2026年8月5日頃 新規チケット販売を一時停止
実行委員会が新規チケットの販売を一時停止した。
関係機関との最終調整中であり、開催の可否を8月9日に案内すると発表した。
2026年8月6日 3市が関与を否定
長浜市、彦根市、高島市が、それぞれ公式ホームページで大会への関与を否定する声明を発表した。
大会名から自治体主催と誤解される可能性があったため、3市がそろって注意喚起する異例の事態となった。
2026年8月7日 消防への申請なしが判明
各市の消防本部で、大会に関する火薬使用の許可申請が確認されていないことが明らかになった。
2026年8月9日 正式に中止を発表
実行委員会が公式サイトとSNSで大会の中止を発表した。
開催日までに必要な準備と運営体制を整えることが困難と判断したと説明。延期や振替開催はなく、今後の開催予定もないとした。
チケット購入者や出店者への対応は、法的専門家へ相談しながら整理中として、詳細確定後に案内すると説明した。
主催は民間の実行委員会
大会を主催したのは、民間の「琵琶湖三市同時花火大会実行委員会」である。
琵琶湖三市同時花火大会実行委員会
- 法人格:公表情報では不明
- 構成団体:公表情報では不明
- 運営統括責任者:谷中康亮
- 主な事業:琵琶湖三市同時花火大会の企画・運営
- 自治体との関係:長浜市、彦根市、高島市は関与を否定
- 観光協会との関係:公式な関与は確認されていない
- 特定商取引法表記の住所:滋賀県栗東市目川1600-105(現在は退去済み)
大会公式サイトや特定商取引法に基づく表記には実行委員会名が記載されていたが、どの企業や団体が参加しているのか、資金管理を誰が担当しているのか、正式な法人格があるのかなどは明確にされていない。
一般的な大規模花火大会では、自治体、観光協会、商工団体、地元企業、警察、消防、警備会社、花火業者などが関わる。
今回の実行委員会は組織の全体像が見えにくく、その不透明さが購入者の不安を強めている。
特商法表記の住所は中止前に使用終了
チケット販売時の特定商取引法表記には、滋賀県栗東市目川1600-105という住所が掲載されていた。
しかし、8月9日の中止発表では、この住所について2026年6月をもって使用を終了した旧所在地であり、現在は大会事務局ではないと説明した。
主催者は住所への直接訪問を控えるよう求め、郵便物については転送手続きを行っているとした。
チケット販売者が連絡先として掲げていた住所を、大会開催前に使用しなくなっていたことも、運営実態への疑問を招いた。
住所変更そのものが直ちに不正を意味するわけではない。
しかし、高額チケットや出店料を受け取るイベントであれば、現在の事務局所在地、責任者、問い合わせ窓口を明確にする必要がある。
運営統括責任者・谷中康亮氏のプロフィール
谷中康亮
- 生年月日:非公表
- 年齢:非公表
- 出身地:非公表
- 学歴:非公表
- 職業:株式会社DIS 代表、事業運営者、イベント企画関係者とみられる
- 役職:琵琶湖三市同時花火大会実行委員会代表・運営統括責任者
- 主な活動:ドローンによるコンテンツ創出、地域・教育支援、花火大会企画
大規模花火大会の運営実績:公表情報では確認困難
谷中氏の詳しい経歴はほとんど公表されていない。
生年月日、年齢、学歴、過去の勤務先、イベント運営歴などは不明である。
公開情報では、ドローンを活用したコンテンツ創出事業に関わる人物とされている。
滋賀県立高島高校の活動を支援

2026年5月、谷中氏は滋賀県立高島高校の科学探究部が行った、水中ドローンを使う琵琶湖でのフィールドワークを支援したとされる。
谷中氏が運営する事業の一つであるドローンコンテンツを学校教育へ活用できないかと来校し、高島市や琵琶湖の魅力を深掘りする活動に関わったという。
この活動は、谷中氏が少なくとも地域や教育現場との接点を持ち、ドローン関連の取り組みを行っていたことを示している。
一方、高校での支援活動と、3市同時・1万発規模の花火大会を安全に運営できる能力や実績は別問題である。
大規模イベントの経験、資金力、組織体制、花火業者との契約状況などは明らかになっていない。
関連企業・団体をめぐる情報
インターネット上では、株式会社DIS、株式会社松建、一般社団法人地域再生・防災ドローン利活用推進協会などの名称が、今回の花火大会との関連先として挙げられている。
しかし、これらの企業や団体が大会の主催、資金管理、チケット販売、花火打ち上げ、会場設営などで具体的にどの役割を担っていたのかは、提示された公表情報だけでは確認できない。
株式会社DISについては谷中氏が代表との投稿もあるが、公的な法人情報と明確に一致するかは未検証である。
株式会社松建や一般社団法人地域再生・防災ドローン利活用推進協会についても、実行委員会との契約関係や責任範囲は不明である。
チケット代や出店料は返金されるのか
購入者や出店者にとって最大の問題は、支払った金銭が返ってくるかどうかである。
実行委員会は中止発表の時点で、チケットや出店者への対応について法的専門家へ相談しながら確認・整理していると説明した。
しかし、即時の全額返金、返金開始日、返金方法、手数料の扱い、出店準備にかかった費用の補償などは明確にされなかった。
特定商取引法に基づく表記や販売時の案内に中止時の返金条件が記載されていた場合、主催者にはその内容に沿った対応が求められる。
チケット販売に使用されたSTORESが決済を仲介していても、通常はイベントの開催責任や返金義務がすべて販売プラットフォームへ移るわけではない。
原則として、販売者である実行委員会が購入者へ説明し、適切に対応することになる。
出店者からも返金不安の声
チケット購入者だけでなく、ナイトマーケットへ出店する予定だった事業者からも不安の声が上がっている。
出店料として5万円を振り込んだ事業者もいるとされる。
イベント開催を前提に食材、商品、容器、テント、発電機、スタッフなどを手配していれば、実際の損失は出店料を大きく上回る可能性がある。
出店者向けの説明会について、一方的な説明が中心で質問できなかったとの声も出ている。
主催者と連絡が取れないという相談が自治体へ寄せられたことも、返金不安を拡大させた。
中止後、実行委員会は当面の間、個別問い合わせへの回答を控えるとしている。
「詐欺では?」と疑われる理由
琵琶湖三市同時花火大会が詐欺ではないかと疑われている背景には、複数の不自然な点が重なっている。
自治体が関係しているように見える名称
大会名には「三市」と入り、長浜、彦根、高島の3市を大きく掲げていた。しかし、実際には3市ともイベントへの関与を否定した。
自治体の名称を使うことで、公的なイベントであるかのような安心感を与えたのではないかと疑う声が出ている。
ただし、自治体名をイベント名称へ使用しただけで、直ちに詐欺が成立するわけではない。公式サイト上で民間主催とどの程度明確に表示していたかも判断材料となる。
必要な許可申請が確認されないまま販売
河川法に基づく滋賀県への申請や、花火打ち上げに関する消防への申請が確認されないまま、有料チケットが販売されていた。
大規模な花火大会を本当に開催するのであれば、会場、花火業者、消防、警察、警備、交通規制などの具体的な調整が必要となる。
許可を得られる見通しが立っていない段階で販売を続けていたとすれば、購入者にどのような説明をしていたのかが問題となる。
実行委員会の構成が不明
主催団体は実行委員会を名乗っているが、参加企業、担当者、資金管理者、法人格などが明確ではない。
大規模イベントを運営できる組織体制が見えないことが、実体のない団体ではないかとの疑いにつながっている。
大規模花火大会の実績が確認しにくい
谷中氏について、ドローン関連事業や地域支援活動は確認されているが、1万発規模の花火大会を運営した実績は確認しにくい。
過去の実績がないこと自体は不正を意味しない。
しかし、3市同時開催という難易度の高い企画を実現するには、相当な人員、資金、経験が必要となる。
連絡先住所が旧所在地になっていた
特定商取引法表記の住所は、大会開催前の2026年6月に使用を終了していたと説明された。
現在の事務局所在地が明確でなく、電話取材にもつながりにくい状態は、購入者の不信感を強めた。
中止時に全額返金を明言しなかった
開催できないことが決まったにもかかわらず、実行委員会は中止発表と同時に全額返金を約束せず、法的専門家へ相談しながら整理すると説明した。
購入者から見れば、開催されないイベントの代金が直ちに返金されない理由は分かりにくい。返金資金が残っているのかという疑問も生じる。
計画倒れと詐欺を分ける最大のポイント
今回の問題が単なる計画倒れなのか、最初から金銭を集める目的の詐欺だったのかを分ける最大のポイントは、チケット販売時点における主催者の認識と準備状況である。
花火業者との契約はあったのか、会場は確保されていたのか、警備会社や消防との協議は進んでいたのか、集めた資金は何に使われたのか、返金原資は残っているのかが重要となる。
必要な契約や準備を進めていたものの途中で破綻したのであれば、ずさんな運営による中止という可能性が高まる。
反対に、具体的な準備をほとんど行わず、実現できないと認識しながら宣伝と販売を続け、集めた資金を大会以外へ流用していた事実が判明すれば、詐欺を疑う根拠は強くなる。
今後の焦点
今後の最大の焦点は、チケット代と出店料が実際に返金されるかである。
実行委員会が返金方法と日程を明示し、購入者と出店者へ全額返金すれば、金銭被害の拡大は一定程度抑えられる。
一方、返金案内が長期間出ない、連絡が取れない、返金が一部にとどまる、主催者の所在が分からなくなるといった状況になれば、警察や消費生活センターへ相談する人が増える可能性がある。
実行委員会の構成、チケット販売枚数、集めた総額、出店料収入、支出内容、契約先、現在の資金残高などが明らかになるかも注目される。
まとめ
2026年8月22日に開催予定だった琵琶湖三市同時花火大会は、開催13日前の8月9日に突然中止となった。
長浜市、彦根市、高島市から同時に1万発以上を打ち上げると告知され、約7000円から1万9000円の有料チケットが販売されていた。
しかし、3市はイベントへの関与を否定し、滋賀県や各市消防本部では必要とみられる許可申請も確認されなかった。
主催する実行委員会の構成や法人格は明確でなく、運営統括責任者の谷中康亮氏についても、大規模花火大会の運営実績は確認しにくい。
中止発表では即時の全額返金が明言されず、法的専門家へ相談しながら対応を整理するとされた。
チケット購入者や出店者から「詐欺ではないか」との声が上がるのは、自治体の関与を連想させる名称、許可申請なし、組織の不透明さ、連絡の取りにくさ、返金の不透明さが重なっているためである。
ずさんな計画が破綻したのか、開催意思のないまま資金を集めたのかは、今後の返金対応と資金使途の解明によって判断されることになる。

