2026年8月19日、大手ゼネコン「竹中工務店」の社員で、大阪・関西万博会場工事の総括作業所長を務めていた河井辰巳容疑者が、背任の疑いで大阪府警に逮捕された。
河井容疑者は万博会場内の仮設事務所工事などを巡り、下請けの建設業者に工事費を水増し請求させ、勤務先の竹中工務店に約1369万円の損害を与えた疑いが持たれている。
水増しされた工事費は、河井容疑者の自宅や所有するマンション、親族が経営する飲食店の改修工事に充てられた可能性があるという。
河井容疑者は、万博の象徴となった「大屋根リング」の西工区などを統括していたベテラン社員だった。
下請け業者の選定や工事費の承認に影響力を持つ立場だったとみられ、その権限がどのように利用されたのかが捜査の焦点となっている。
この記事では、河井辰巳容疑者のプロフィールや経歴、逮捕容疑、水増し請求の手口、私的なリフォーム工事との関係、竹中工務店と博覧会協会の対応を整理する。
河井辰巳について


プロフィール
河井辰巳(かわい たつみ)
- 生年月日: 非公表
- 年齢: 61歳
- 出身地: 非公表
- 住所: 奈良県奈良市
- 職業: 建設会社社員
- 勤務先: 株式会社竹中工務店
- 過去の役職: 大阪本店工務部長、技術部長、総括作業所長など
- 万博での役割: 大阪万博リング西工区作業所総括作業所長
- 入社年: 1989年
- 学歴: 非公表
- 家族構成: 非公表
河井辰巳容疑者は、1989年に竹中工務店へ入社したベテラン社員である。
長年にわたり大型建築物の施工管理へ携わり、技術部門や工務部門の責任者を務めた後、大阪・関西万博会場工事の総括作業所長に就任した。
生年月日、出身地、学歴、詳しい家族構成などは公表されていない。
経歴
河井容疑者は、竹中工務店で30年以上にわたり建設工事へ携わってきた。
公開資料では、2014年6月から2016年11月まで施工された大阪国際がんセンターの建設工事で、作業所長を務めていたことが確認できる。
その後は大阪本店の技術部長、工務部長などを歴任したとされる。
2023年には、大阪本店の大阪万博リング西工区作業所で総括作業所長に就任した。
万博会場では、竹中工務店を中心とする共同企業体が担当した大屋根リング西工区や周辺施設の施工を指揮していた。
会社の公式資料や報道機関の取材にも登場し、万博工事を代表して進捗状況や現場の安全対策を説明する立場だった。
万博工事の総括作業所長とは?
総括作業所長は、建設現場全体を指揮する最高責任者に当たる役職である。
一般的には次のような業務を担当する。
- 工事全体の進行管理
- 施工方法や作業工程の調整
- 工事費や資材費の管理
- 下請け業者との契約や調整
- 品質管理と安全管理
- 発注者や共同企業体との協議
- 現場で発生した問題への対応
大規模工事では多くの下請け業者や作業員が関わるため、総括作業所長は工事費や下請け業者の選定にも大きな影響を持つ。
大阪府警は、河井容疑者がこうした立場を利用し、下請け業者に水増し請求を行わせた可能性があるとみている。
河井辰巳容疑者は何をした?
逮捕容疑の対象となったのは、2025年2月中旬から6月上旬にかけて行われた万博会場内の仮設事務所の内装工事などである。
河井容疑者は奈良県内の下請け建設業者と共謀し、実際の工事費よりも高い金額を竹中工務店へ請求させた疑いが持たれている。
大阪府警によると、水増し請求は複数回行われ、竹中工務店が余分に支払った金額は合計約1369万円に上るという。
水増しの方法としては、次のような手口が報じられている。
- 建築部材の単価を実際より高く設定する
- 使用した資材の数量を多く見せかける
- 作業員の工賃を水増しする
- 実際には行っていない架空の作業を計上する
- 万博工事と無関係な費用を工事代金へ上乗せする
大阪府警は、下請け業者が水増し請求に応じた経緯や、河井容疑者との間にどのような利益関係があったのかを調べている。
水増しした工事費を自宅リフォームに使用か
河井容疑者は、下請け業者へ指示して水増しさせた工事費を、自宅などの私的な改修工事に充てさせていたとみられている。
報道されている改修先は次の通りである。
- 奈良市内にある河井容疑者の自宅
- 河井容疑者が所有するマンション
- 親族が経営する飲食店
これらの私的な工事費を河井容疑者自身が支払うのではなく、万博工事の費用へ上乗せし、竹中工務店に負担させた疑いが持たれている。
ただし、具体的にどの改修工事へいくら充てられたのかは、現時点では明らかになっていない。
親族が経営するカフェの店名は?
一部報道では、河井容疑者の親族や家族が経営する飲食店の改修費用も、下請け業者に負担させた可能性があると伝えられている。
飲食店については「親族が経営する飲食店」「家族が経営するカフェ」などと報じられているが、具体的な店名や所在地は公表されていない。
奈良市内にあるとの見方も出ているものの、主要報道や警察発表で確認された情報ではない。
同名店舗や無関係な飲食店を事件と結び付けることは避ける必要がある。
約1369万円と6000万円以上の違い
今回の逮捕容疑で竹中工務店が受けたとされる損害は、約1369万円である。
一方、一部報道では、河井容疑者が下請け業者に行わせた自宅やマンション、親族の飲食店などの工事全体で、6000万円以上の利益を得ていた可能性も伝えられている。
この二つの金額は同じものではない。
- 約1369万円: 今回の逮捕容疑として立件された竹中工務店の損害額
- 6000万円以上: 2023年ごろから行われていたとされる私的工事全体で、河井容疑者側が受けた利益の可能性
6000万円以上という金額については、現時点で逮捕容疑の全額として立件されたわけではない。
大阪府警は今回の約1369万円以外にも、同様の水増し請求や私的工事がなかったか捜査している。
今後の捜査によって、被害額や不正の期間が拡大する可能性がある。
背任容疑とは?
背任とは、会社などのために業務を担当する人物が、自分や第三者の利益を図る目的で任務に反する行為を行い、会社へ財産上の損害を与える行為を指す。
今回、河井容疑者は竹中工務店の社員として、工事費を適切に管理する立場にあった。
それにもかかわらず、私的なリフォーム費用を会社の工事費へ上乗せし、竹中工務店に支払わせた疑いが持たれている。
大阪府警は、勤務先の利益を守るべき立場でありながら、自己や親族の利益を優先して会社へ損害を与えたとして、背任容疑を適用したとみられる。
逮捕は刑事手続きの途中段階であり、河井容疑者の有罪が確定したわけではない。
大阪・関西万博の大屋根リング工事を統括

河井容疑者が総括作業所長を務めていたのは、竹中工務店、南海辰村建設、竹中土木による共同企業体が担当した西工区である。
大屋根リングは大阪・関西万博の会場を囲むように建設された、全周約2キロメートルの巨大木造建築物である。
工事は複数の工区に分けて発注され、竹中工務店を含む共同企業体は西側約700メートルと周辺施設を担当した。
西工区の受注額は約175億円と報じられている。
河井容疑者は大屋根リングだけでなく、西ゲート施設、営業施設、仮設事務所など、担当工区内の複数の工事を統括していた。
万博協会への水増し請求ではない?
今回の事件で直接損害を受けたとされるのは、万博を運営した日本国際博覧会協会ではなく、河井容疑者の勤務先である竹中工務店である。
警察が逮捕容疑としているのは、下請け業者が竹中工務店へ工事費を水増し請求し、竹中工務店が余分な代金を支払ったという構図である。
2026年8月19日時点では、竹中工務店が水増し分を万博協会へ請求した事実は確認されていない。
そのため、約1369万円がそのまま税金や万博協会の建設費へ上乗せされたと断定することはできない。
ただし、公共性の高い万博工事の現場で発生した疑いであり、工事費の管理や下請け契約の透明性が問われる問題となっている。
作業員を支える取り組みも発信していた

河井容疑者は万博工事の責任者として、現場で働く作業員の安全や健康を重視する姿勢を対外的に発信していた。
2024年には、作業員の疲労回復を目的としたボディメンテナンス施設が報道機関へ公開された。
マッサージなどを受けられる施設を設け、過酷な環境で働く作業員を支える必要性を説明していた。
また、ロボットやドローン、デジタル技術を活用した施工方法についても取材に対応し、万博工事を「未来志向」の建設現場として紹介していた。
現場環境の改善を訴えていた責任者が、一転して工事費の私的流用を疑われる事態となったことで、関係者に衝撃が広がっている。
事件の時系列
1989年
河井辰巳容疑者が竹中工務店へ入社する。
2014年6月から2016年11月
大阪国際がんセンターの建設工事で作業所長を務める。
2017年ごろ
大阪本店の技術部長に就任したとされる。
2018年以降
大阪本店工務部長などを務める。
2023年
大阪万博リング西工区作業所の総括作業所長に就任する。
河井容疑者の自宅や関係先の改修工事も、この時期から始まっていた可能性があると報じられる。
2024年
万博工事の現場責任者として報道機関の取材に対応する。
作業員向けのボディメンテナンス施設や、デジタル技術を活用した施工について説明する。
2025年2月中旬から6月上旬
下請け建設業者に万博会場内の仮設事務所工事などの費用を水増し請求させ、竹中工務店に約1369万円の損害を与えた疑い。
2025年4月13日
大阪・関西万博が開幕する。
2025年10月13日
大阪・関西万博が閉幕する。
2026年2月ごろ
情報提供を受けた大阪府警が捜査を開始したと報じられる。
2026年8月19日
大阪府警捜査2課が河井容疑者を背任の疑いで逮捕する。
同日、竹中工務店の大阪本店などを家宅捜索し、工事費や下請け業者との取引に関する資料を押収する。
竹中工務店を家宅捜索
大阪府警は河井容疑者を逮捕した8月19日、竹中工務店の大阪本店を家宅捜索した。
警察は押収した契約書、請求書、工事費の明細、社内の承認記録などを分析し、水増し請求が行われた経緯を調べるとみられる。
捜査の焦点は次の通りである。
- 水増し請求を河井容疑者がどのように指示したのか
- 下請け業者が指示に応じた理由
- 自宅などの私的工事へ充てられた金額
- 約1369万円以外にも同様の請求があるのか
- 河井容疑者側が受けたとされる利益の総額
- 社内の承認や検査をどのように通過したのか
- 他の社員や関係業者が不正を把握していたのか
河井容疑者の認否については、警察が明らかにしていない。
竹中工務店が謝罪
竹中工務店は8月19日、公式サイトで従業員の逮捕について謝罪した。
同社は事態を厳粛に受け止め、警察の捜査へ全面的に協力すると表明した。
事実関係を確認した上で厳正に対処し、内部統制、管理体制、社員教育を一層強化する方針も示している。
今後は河井容疑者個人への処分だけでなく、工事費の査定、発注、支払いまでの社内チェックがなぜ機能しなかったのかも検証されることになる。
博覧会協会の反応
日本国際博覧会協会は、逮捕容疑が事実であれば誠に遺憾だとコメントした。
今後は警察の捜査状況を注視し、必要に応じて捜査へ協力する方針としている。
博覧会協会側への水増し請求は現時点で確認されていないが、万博工事に関する問題であることから、竹中工務店の内部調査結果についても説明が求められる可能性がある。
現在の状況
2026年8月19日時点で、河井容疑者は背任容疑で逮捕された段階である。
警察は認否を明らかにしておらず、起訴されるかどうかも決まっていない。
逮捕容疑となった損害額は約1369万円だが、2023年ごろから私的な改修工事が行われ、河井容疑者側が6000万円以上の利益を得た可能性も報じられている。
今後の捜査によって、被害総額が拡大したり、下請け業者など関係者の刑事責任が問われたりする可能性がある。
今後の焦点
今後、特に注目されるのは次の点である。
- 河井容疑者が逮捕容疑を認めるのか
- 水増し請求を行った下請け業者の関与
- 自宅やマンションなどの工事費の総額
- 親族の飲食店改修に使われた金額
- 6000万円以上とされる利益の実態
- 追加の水増し請求が確認されるのか
- 竹中工務店以外に損害が発生しているのか
- 社内のチェック体制が機能しなかった理由
- 竹中工務店による社内処分と再発防止策
- 河井容疑者が起訴されるのか
まとめ
竹中工務店の社員で、大阪・関西万博工事の総括作業所長を務めていた河井辰巳容疑者が、2026年8月19日に背任の疑いで逮捕された。
河井容疑者は下請け建設業者と共謀し、万博会場内の仮設事務所工事などの費用を水増し請求させ、竹中工務店に約1369万円の損害を与えた疑いが持たれている。
水増し分は、自宅、所有するマンション、親族が経営する飲食店などの改修費用へ充てられた可能性があるという。
今回の逮捕容疑とは別に、河井容疑者側が私的な工事によって6000万円以上の利益を得ていた可能性も報じられているが、全額が立件されたわけではない。
また、現時点で万博協会への水増し請求が確認された事実はなく、逮捕容疑上の被害者は竹中工務店である。
河井容疑者は逮捕された段階であり、有罪が確定したわけではない。今後は追加の水増し請求や資金の流れ、下請け業者の関与、竹中工務店の内部管理体制が捜査と社内調査によって明らかになるかが焦点となる。

