北海道共同募金会の使途不明金問題で、さらに約7000万円の使い道が分からなくなっていることが明らかになった。
同会は2026年9月16日の会見で、これまで公表していた約1億8000万円と合わせ、使途不明金が総額約2億5000万円に上ると説明した。
会計責任者だった元事務局長の男性は、7月13日付で懲戒解雇されている。
さらに、議事録を偽造するなどして金融機関から約1億9000万円を借り入れた疑いも報じられた。
一方、過去の公開資料には、北海道共同募金会の事務局長として「成田達哉」の名前が掲載されている。
この記事では、成田達哉氏について確認できる経歴と、使途不明金が増えた経緯、疑われている会計処理、第三者委員会による調査の内容を整理する。
使途不明金が1億8000万円から2億5000万円に増加
北海道共同募金会は2026年6月15日、赤い羽根共同募金などで集めた寄付金のうち、約1億8000万円が使途不明になっていると公表した。
それから約3カ月後の9月16日、新たに約7000万円が判明し、総額は約2億5000万円に拡大した。
報道では、2025年度の決算確認で、伝票などの関係書類に取引内容が記載されていない問題が説明されている。
今回の発表は、使い道を確認できていない金額が増えたというものだ。
追加の7000万円すべてについて、元事務局長による着服が認定されたとの発表ではない。
資金がどこへ移動し、何に使われたのか。会計資料の不足や不明瞭な処理を含め、全容の解明は続いている。
成田達哉について

成田達哉氏は、過去の公開資料で北海道共同募金会の事務局次長、事務局長として紹介されている人物だ。
2022年11月3日に開催された日本ファンドレイジング協会の会員交流会では、「北海道共同募金会事務局長」として登壇者に名前が掲載されている。
発表テーマは、企業との交渉や寄付を集める取り組みに関するものだった。
2023年には、三菱電機北海道支社による福祉施設への寄付金贈呈式に出席。北海道共同募金会の事務局長として、寄付の目録を受け取ったことが報じられている。
こうした資料から、成田氏が募金の実務や企業との連携に携わっていたことは確認できる。
一方、今回の懲戒解雇を発表した文書には、対象者の氏名が記載されていない。
成田氏の職歴を示す資料と、元事務局長の不正疑惑に関する発表では、確認できる情報の範囲が異なる。
プロフィール
成田達哉(なりた たつや)
- 年齢: 58歳(2026年6月時点)
- 住所: 非公開(以前、北海道江別市に住んでいたとの噂あり)
- 出身地: 非公開
- 職業・経歴: 北海道共同募金会の職員として活動した記録がある
- 過去の役職: 北海道共同募金会事務局次長、事務局長
- 主な活動: 共同募金に関する講演、企業・団体との寄付交渉、寄付金贈呈式への出席
- 学歴: 非公開
成田氏の名前は、事務局長就任以前の地域福祉関係の資料にも登場する。
自治体の広報資料などでは、事務局次長として共同募金に関する講演を行った記録が残っている。
なお、使途不明金問題で報じられた元事務局長の男性は、2026年6月時点で58歳とされる。
この年齢を成田氏本人のプロフィールとして裏付ける別の資料は確認できていない。
北海道共同募金会はどんな団体?
北海道共同募金会は、道内の共同募金運動を担う社会福祉法人だ。
赤い羽根共同募金や歳末たすけあい募金などを通じて寄付を集め、地域の福祉活動を支援している。
- 法人名: 社会福祉法人北海道共同募金会
- 所在地: 北海道札幌市中央区北2条西7丁目・かでる2.7内
- 主な活動: 共同募金運動、地域福祉活動への助成、寄付の受け入れなど
- 主な募金: 赤い羽根共同募金、歳末たすけあい募金
共同募金会は、都道府県ごとに独立した法人として運営されている。
各地の共同募金会と、その連合組織である中央共同募金会が、全国の共同募金運動を担う仕組みだ。
今回の問題は、北海道共同募金会の会計で発生したものとなる。
元事務局長が通帳や印鑑を1人で管理
6月の発表や報道によると、元事務局長は会計責任者を兼ね、募金会名義の口座の通帳や印鑑を1人で管理していた。
同会は、2020年ごろから無断で現金を引き出し、資金不足を借り入れなどで補っていた疑いがあると説明している。
問題視されているのは、資金を動かす権限と、その取引を記録・管理する業務が、同じ人物に集中していた点だ。
さらに、帳簿の外で行われた処理が多数あったことも、募金会自身が認めている。
資金の出入りを日常的に照合する仕組みが十分に働いていたのか。
第三者委員会では、個々の取引だけでなく、長期間にわたって問題を発見できなかった体制も調べる。
議事録偽造で約1億9000万円を借り入れた疑い
2026年8月18日には、元事務局長が議事録を偽造するなどして、前年までに道内の2金融機関から合計約1億9000万円を借り入れていたと報じられた。
正式な承認を得たように装って融資を受け、使途不明金の発覚を免れようとしたとみられている。
また、立て替え金があるように装うなど、実態と異なる経理処理を重ねていた疑いも伝えられた。
寄付金の不足に加え、借り入れの承認手続きや書類の真正性も問題となっている。
ただし、約2億5000万円の使途不明金と約1億9000万円の借入額は、性質の異なる数字だ。
不足分の穴埋めに借入金が使われた可能性があるため、単純に合計して「被害額4億4000万円」とは算定できない。
発覚のきっかけは札幌国税局の査察
問題の発端は、2026年2月17日の国税局による査察だった。
当時の事務局長に所得税法違反の疑いが持たれ、北海道共同募金会の会計資料の大部分が押収された。
募金会が手元に残された資料を調べたところ、3月末に、本来あるはずの金銭が相当額不足している可能性を確認したという。
同会は3月末に弁護士へ調査を依頼し、4月中に調査を受け、ゴールデンウィーク明けに初回の報告を受けたと説明している。
6月14日に公式サイトで問題を公表し、翌15日に記者会見を開いた。
公表まで時間がかかった理由については、会計資料の押収と多数の簿外処理により、事案の把握が難しかったと説明している。
7月13日付で元事務局長を懲戒解雇
北海道共同募金会は、2026年7月13日付で事務局長を懲戒解雇した。
翌14日の公式発表では、処分理由を、多額の使途不明金につながる経理処理などとしている。
6月の報道では、元事務局長は国税局の調査を理由に、募金会の聞き取りへ十分に応じていないとされていた。
使途不明金の具体的な行き先や、本人が関与を認めている範囲については、全容が明らかになっていない。
懲戒解雇は法人としての処分であり、刑事事件としての逮捕や起訴とは別の手続きとなる。
第三者委員会が発足、元役員の責任も調査へ
北海道共同募金会は9月10日、第三者委員会を翌11日付で発足させると発表した。
委員会は弁護士3人、公認会計士3人の計6人で構成される。委員長は田村智幸弁護士、副委員長は上田恵一公認会計士が務める。
募金会によると、各委員は同会と利害関係を持たず、日弁連の第三者委員会ガイドラインに準拠して調査する。
調査対象には、次の項目が含まれている。
- 多額の使途不明金と財源不足が発生した原因
- 国税局の調査まで問題が判明しなかった理由
- 元事務局長の関与の有無、具体的な内容と法的責任
- 現在の役員・元役員の関与と責任
- 再発防止策
調査は元事務局長だけに限定されない。会計処理を監督する立場にあった役員らについても、関与や責任の有無を検証する。
調査報告書は2027年1月末をめどに提出される予定で、募金会は受領後に公開する方針を示している。
福祉団体への助成にも影響
使途不明金問題は、寄付金を受け取る福祉団体にも影響した。
北海道共同募金会では、例年行っていた助成金の交付が遅れ、7月に一部の支給が始まった。
当時の報道では、当面の支給額は約1億6000万円で、当初予定の5割弱にとどまるとされていた。
助成を予定していた団体にとっては、事業費の確保や活動計画に関わる問題だ。調査を進める一方で、地域の福祉活動を継続するための財源確保も課題となっている。
全国への影響を受け、中央共同募金会は北海道を除く46都府県の共同募金会について、出納業務の管理体制を緊急点検。7月17日に結果を公表した。
なぜ逮捕されていない?刑事告訴の状況は
2026年9月16日時点で、今回確認した公式発表や報道には、元事務局長の逮捕や起訴を確認できる情報はなかった。
一方、北海道共同募金会は刑事告訴や損害賠償請求に向けた対応を示している。
8月24日の公式説明では、第三者委員会の調査などで事実が判明した際に、刑事告訴や損害賠償請求を含めて改めて公表するとしている。
告訴が正式に受理されたかどうかや、捜査機関が現在どの段階まで調べているかは、確認できていない。
また、逮捕されていない理由について、警察などが説明したとの発表も見当たらない。
使途不明金の増額や懲戒解雇の事実だけから、捜査の進行状況まで読み取ることはできない状態だ。
問題発覚から最新発表までの時系列
2020年ごろ
元事務局長が、無断の出金や借り入れによる穴埋めを始めた疑いがあると、後に報じられる。
2022年11月3日
成田達哉氏が、北海道共同募金会事務局長として、企業との寄付交渉などを扱う研修会の登壇者に掲載される。
2023年
企業による寄付金贈呈式に、成田氏が事務局長として出席したことが報じられる。
2026年2月17日
事務局長の所得税法違反の疑いで国税局が査察。会計資料の大部分が押収される。
2026年3月末
募金会が資金不足の可能性を確認し、弁護士へ調査を依頼する。
2026年6月14~15日
公式サイトと記者会見で問題を公表。約1億8000万円が使途不明と説明する。
2026年7月13日
事務局長を、多額の使途不明金につながる経理処理などを理由に懲戒解雇する。
2026年7月17日
中央共同募金会が、46都府県の共同募金会を対象とする緊急一斉点検の結果を公表する。
2026年8月18日
元事務局長が議事録を偽造するなどして、約1億9000万円を借り入れていたと報じられる。
2026年8月24日
北海道共同募金会が、改善報告書や再発防止策を公表する。
2026年9月11日
弁護士と公認会計士による第三者委員会が発足する。
2026年9月16日
新たに約7000万円の使途不明金を公表。総額は約2億5000万円となる。
2027年1月末をめど
第三者委員会が調査報告書を提出する予定。募金会は受領後に公開する方針となっている。
まとめ

北海道共同募金会の使途不明金は、2026年9月16日の発表で約2億5000万円に増えた。
会計責任者だった元事務局長は7月に懲戒解雇され、議事録偽造による約1億9000万円の借り入れ疑惑も報じられている。
成田達哉氏については、過去の公開資料から、同会の事務局次長や事務局長として活動していたことを確認できる。
一方、処分対象者の実名を示す公式発表は、今回の確認範囲では見つかっていない。
9月11日には第三者委員会が発足し、資金の行方だけでなく、発見が遅れた理由や役員らの責任も調査対象となった。
今後の焦点は、約2億5000万円の使途、回収の見通し、刑事告訴の進展、そして地域福祉への助成をどこまで確保できるかにある。

