鹿児島県指宿市の「有限会社水迫畜産」をめぐり、牛肉の牛種や原産地、個体識別番号の不適正表示が発覚し、大きな問題になっています。
黒毛和牛ではない牛肉を「黒毛和牛」と表示したほか、鹿児島県産ではない牛肉を「鹿児島県産」として販売していたことなどを農林水産省が確認し、食品表示法と牛トレーサビリティ法に基づく指示・勧告が出されました。
しかも、この牛肉は一般販売だけでなく、ふるさと納税の返礼品にも使われていました。
鹿児島県内8自治体で影響が確認され、寄付総額は「6億円超」から、その後の報道では「7億円超」にまで膨らむ可能性があるとされています。
問題は単なる表示ミスではなく、自治体や寄付者の信頼を揺るがす広域的な案件に発展しています。
水迫政治は何した?問題の核心
今回、水迫政治社長が率いる有限会社水迫畜産で確認されたのは、主に3つの不適正表示です。
- 黒毛和種以外の「肉専用種」「交雑種」「ホルスタイン種」の牛肉を使っていたにもかかわらず、「黒毛和牛」と表示していたこと。
- 沖縄県産や宮崎県産の牛肉を使っていたにもかかわらず、「鹿児島県産」と表示していたこと。
- 特定牛肉に事実と異なる個体識別番号を表示していたことです。農水省は、これらがふるさと納税返礼品や一般消費者向け商品として販売されていたと公表しています。
指宿市の公表資料では、少なくとも2023年1月1日から10月31日までの間に、こうした不適正表示の商品が返礼品や一般向けに出荷されていたと説明されています。
つまり、一時的な単発ミスではなく、一定期間継続していた可能性が高いという点が、この問題をより深刻にしています。
「水迫政治」について


プロフィール
水迫政治(みずさこ まさはる)
- 年齢:83歳前後(2026年2月時点の報道ベース)
- 職業:実業家
- 役職:有限会社水迫畜産 代表取締役社長
- 本社所在地:鹿児島県指宿市山川福元788番地
人物・経歴まとめ
水迫政治氏は、鹿児島県指宿市に本社を置く食肉加工販売会社「水迫畜産」の代表取締役社長です。
長年にわたり畜産業界に携わってきた経営者で、鹿児島だけでなく沖縄の石垣島や黒島などにも子牛の買い付けに足を運ぶなど、現場主義の人物として知られていました。
畜産関連の団体や地域経済の中でも一定の影響力を持つ存在とされてきましたが、2026年3月に発覚した牛肉の不適正表示問題により、一気に厳しい批判の対象となっています。
「水迫畜産」の会社概要


有限会社水迫畜産
- 本社所在地:鹿児島県指宿市山川福元788番
- 電話番号:0993-34-0760
- 法人番号:6340002018967
- 設立:1972年
2021年の農業系取材記事によると、水迫畜産グループは「有限会社水迫畜産」と「株式会社水迫ファーム」で構成され、繁殖から肥育、飼料製造、有機肥料製造、食肉加工、卸売までを一貫して手がける畜産企業と紹介されていました。
有限会社水迫畜産は1972年設立とされ、グループ全体でかなり大きな規模の和牛事業を展開してきたことがうかがえます。
別の関連サイトでは、水迫グループは鹿児島・宮崎・沖縄の3県にまたがって和牛の生産・肥育・食肉卸業を行い、保有頭数約1万6,000頭、年間出荷頭数約9,000頭と紹介されています。
こうした規模感を考えると、今回の不適正表示問題は地元の一事業者の不祥事にとどまらず、流通や返礼品制度にも大きな影響を与える案件だったことがわかります。
なぜここまで大きな問題になったのか
今回の件が特に重大視されている理由は、ふるさと納税の返礼品に広く使われていたためです。
南九州市、鹿屋市、鹿児島市、姶良市、枕崎市、垂水市、指宿市、伊仙町の8自治体で影響が確認されており、寄付件数と金額は非常に大きくなっています。
伊仙町だけでも487件・561万円、枕崎市や南九州市、鹿屋市などを含めた全体では7億円を超える可能性があると報じられています。
鹿屋市の公表では、仕入先である水迫畜産による牛種・原産地・個体識別番号の不適正表示が返礼品に及んでいたとして謝罪文を掲載しています。
南九州市も同様に返礼品受付停止や発送見合わせ、寄付者への連絡を進めています。
つまり、被害は単に「買った人が損をした」だけでなく、自治体全体の信用や制度の信頼性にまで波及しているのです。
水迫政治社長の謝罪対応と批判
水迫政治社長は、3月13日に南九州市役所を、3月24日に鹿屋市役所を訪れて謝罪しています。
ただ、その対応は必ずしも好意的には受け止められていません。
報道では、帽子を深くかぶり、質問にほとんど答えず沈黙する場面が目立ち、「いつかは会見します」と述べるにとどまったと伝えられています。
鹿屋市との面会も非公開で約10分程度だったとされ、市によれば、謝罪はあったものの、補償などの具体的な話し合いはなかったとのことです。
このため、消費者や寄付者の間では「説明不足ではないか」「逃げているように見える」といった不信感がさらに強まっています。
ふるさと納税制度への影響
ふるさと納税は、自治体への信頼と返礼品への信頼によって成り立つ制度です。
今回のように返礼品そのものの表示に問題があった場合、寄付者は「地域を応援したつもりが、実際には偽装商品の流通に加担していたのではないか」という強い不信感を抱きかねません。
鹿児島市も、3月6日の時点で受付停止や未発送品の発送見合わせに動いており、その後4市合同で実地調査も実施しています。
制度の信頼を守るためには、返礼品事業者の審査だけでなく、その仕入先や表示管理の監査体制まで、より厳しく見る必要があることが今回の件で浮き彫りになりました。
自治体側のチェック体制の限界も問われる展開になっています。
今後の焦点
今後の最大の焦点は、まず事実関係の全容解明です。
どの商品に、どれだけの不適正表示があったのか。どの段階でチェックが機能しなかったのか。いつから、どの程度意図的に行われていたのか。
農水省は原因究明・分析の徹底と再発防止策の実施を求めており、水迫畜産側にはかなり重い説明責任が課されています。
もう一つの焦点は、自治体や寄付者への補償・対応です。
現時点では、返礼品の受付停止や発送見合わせ、寄付者への個別連絡は進んでいますが、補償や返金がどうなるのかはまだ見通しが定まっていません。
水迫政治社長の会見時期も未定で、ここからの対応次第で企業としての信頼回復の可能性が大きく変わってきそうです。
まとめ

水迫政治氏が代表を務める有限会社水迫畜産では、黒毛和牛ではない牛肉を「黒毛和牛」と表示し、鹿児島県産ではない牛肉を「鹿児島県産」と表示し、さらに個体識別番号まで事実と異なる記載をしていたことが農林水産省により確認されました。
これは明確な不適正表示であり、食品表示法と牛トレーサビリティ法に基づく是正指示・勧告の対象となっています。
しかも、その牛肉はふるさと納税返礼品として鹿児島県内8自治体に広く流通しており、寄付総額は7億円超に達する可能性があります。
水迫政治社長は自治体に謝罪しているものの、説明は十分とは言えず、今後の会見や補償対応が大きな注目点です。
今回の件は、一企業の偽装問題であると同時に、ふるさと納税制度そのものの信頼を問う事件として、今後も追跡されるべきテーマだと言えます。

