広島の強豪・広陵高校野球部をめぐる暴力・暴言などの申告(計88件)について、学校が設置した第三者委員会は「裏付ける証拠や証言が得られず、事実を認めることは困難」と結論づけた。
SNSでは「身内調査では?」と不信も噴出しているが、今回のポイントは“結論”だけではなく、第三者委員会のメンバー構成そのものにある。
この記事では、委員会がどんな外部専門家で構成され、何をできて何ができないのかを、公開資料ベースで整理する。
まず結論|第三者委員会は「事実認定困難」と判断
広陵高校が公表した文書によると、第三者委員会は申告88件について調査(ヒアリング・アンケート等)を実施したものの、いずれも裏付けが取れず“認定困難”とした。
同時に、学校側の体制については「いじめ防止委員会の運用」「記録・調査体制」「野球部の閉鎖性」などに課題があるとして、改善提言も提示している。
第三者委員会のメンバーは誰?(公開されている範囲)
今回、学校が公表した資料で確認できる委員会の構成は以下のとおり。
※個人情報保護等の観点から、実名が出ているのは委員長のみで、医師・心理職・補助者弁護士2名は匿名(資格・属性のみ)で示されている。
委員長|見之越常治 弁護士(広島弁護士会)

委員長:見之越常治 弁護士(広島弁護士会所属)
第三者委員会において、弁護士が委員長を務めるのは典型的な形。
主な役割は
・事実認定の基準の設計
・ヒアリングの進行
・証拠評価
・報告書のロジック管理
・学校側の“説明責任”を文書化して残す
といった、調査全体の骨格づくり。
委員(医師)|精神科専門医・子どものこころ専門医 1名
委員:医師(精神科専門医・子どものこころ専門医)1名
この枠は「診断を下すため」ではなく、
・申告者(生徒)の心理的影響
・ストレス反応の見立て
・聴取の方法(トラウマ配慮/二次被害防止)
“不登校との関連”を検討する際の医学的観点を担うポジション。
ただし、医学的に辛さが推測できても、それだけで“加害行為の事実”が確定するわけではない。
ミヤカツここが世間の感覚とズレやすい点だと言えます
委員(心理職)|臨床心理士・公認心理師(大学客員教授)1名
委員:臨床心理士・公認心理師(大学客員教授)1名
心理職は、供述の信頼性を“断定”する立場ではないが、
・聴取で何をどう聞くと事実が出やすいか(誘導を避ける等)
・集団の同調圧力
・沈黙の構造(部活文化の心理)
・相談窓口の機能不全
・再発防止策の設計
に強い。
今回の資料でも、学校体制の問題点・提言が併記されており、心理職の知見が“再発防止”側に効いている可能性がある。
補助者(弁護士)|広島弁護士会所属 2名
補助者:弁護士(広島弁護士会所属)2名
補助者は、
・ヒアリングの記録化
・証拠整理
・論点整理
など“実務の手足”。
第三者委員会は大量の供述・資料を扱うため、補助者の有無で調査の精度は大きく変わる。
メンバー選定は“学校のお友達人事”なのか?
ここは誤解されやすい。学校資料によれば、委員長の弁護士は広島弁護士会への推薦依頼→弁護士会判断で決定という流れが明記されている。
一方で、医師・心理職については「各団体に推薦を依頼した上で選任」とされ、学校が窓口になっていることも読み取れる。
つまり、形式面では中立性に配慮した設計だが、“調査対象へのアクセス”や“情報提供の蛇口”を学校が握りやすい構造は残り得る。
これが、SNSで不信が生まれる典型ポイントだ。
なぜ“88件”でも認定ゼロになり得るのか(委員会の限界)
第三者委員会は万能ではない。
今回の公表文書でも、調査はアンケート・ヒアリング中心で、最終的に「裏付けが得られない」となっている。
閉鎖的環境だと「証言が揃わない」
強豪部活ほど、沈黙・忖度・同調圧力が働きやすい。アンケートが実施されても、核心部分が埋まらないことは現実に起きる。
実際、報道でも委員会はアンケート・聞き取りで調査したとされるが、結論は“裏付けなし”だった。
委員会は刑事捜査ではない
委員会には強制捜査権がない。
「言った/言わない」「記録が残っていない」状況では、“合理的に認定できるライン”まで届かないことがある。
SNSの炎上が止まらない理由は「メンバー」より“仕組み”への不信
結局、火がつくのはここ。
委員長に弁護士、医師、心理職という布陣は、ガイドラインに沿った“それっぽい”形を備えている。
それでも炎上するのは、
- 認定がゼロ(結果だけが強烈)
- 学校側の体制不備が提言されている(矛盾に見える)
- 調査主体が学校側に置かれやすい(構造不信)
この3点が重なるからだろう。
まとめ
広陵高校の第三者委員会は、見之越常治弁護士(広島弁護士会)を委員長とし、精神科医(子どものこころ専門医)・臨床心理士/公認心理師(大学客員教授)・補助者弁護士2名という計5名で構成されていた。
一方、申告88件に対して「裏付けが得られず認定困難」という結論は、世間の納得感と衝突しやすく、SNSでは“第三者委員会そのものの構造”に疑いの目が向いている。
メンバーの顔ぶれだけで白黒が決まる話ではなく、「証拠が残りにくい閉鎖環境で、どこまで事実認定できるのか」——その限界が、今回の最大の争点と言えそうだ。









