岡山県玉野市、宇野港のほど近くに、都会の喧騒を離れて「暮らすように旅する」ための拠点があります。
それが、田村元弘さんが手がける「日々の宿 あさぼらけ」「日々の宿 しののめ」、そして「日々のカフェ」。
昭和の古民家を丁寧に改修し、町の日常に溶け込むような宿と、対照的に新築で洗練された現代的なカフェ。
どれも田村さんの「日々をていねいに、町の空気を味わう」想いが詰まっています。
そんな「日々の宿・日々のカフェ」は、2025年7月20日にテレビ東京系列で放送された家、ついて行ってイイですか?で紹介されました。
この記事では、田村元弘さんの想いや、3つの拠点それぞれの魅力をたっぷり紹介します。
岡山県玉野市・宇野について
岡山県南端にある港町・玉野市。
JR宇野駅を出ればすぐ宇野港、そこからは瀬戸内のアートの島・直島、豊島、小豆島などへのフェリーが発着します。
一方で、工業都市として栄えた昭和期を経て人口は減少、今もシャッターを下ろした店舗や空き家が目立つ、そんな一面もある町。
でもだからこそ、瀬戸内の穏やかな海、古い商店街、人懐っこい町の人たち、暮らしのリズムが生きています。
田村さんは「観光地」より「日常」を深く味わってほしいと、この宇野の町を選びました。
田村元弘さんの想い


福岡県出身の田村元弘さんは、陸上選手だった父の影響で中学から陸上競技を始め、大学卒業後は「競技を続けながら働きたい」と大阪でスポーツ関連の仕事に就きました。
しかし仕事が忙しく、肝心の陸上を続けられずに挫折を感じます。
そんな時思い出したのが、父の故郷・玉野市八浜。幼少期に祖父母宅を訪れた思い出があり、2006年に玉野市へ移住。
造船関係の仕事をしながら、再び陸上を続け、地域に根を張りました。
2018年、同世代の陸上仲間の急逝を機に「やりたいことをやろう」と決意し退職。
妻とともに古民家をリノベーションし、当初予定していたカフェから転じて、増える外国人観光客向けに2019年「日々の宿 あさぼらけ」を開業しました。
2021年には妻が岡山市南区に「日々のカフェ」を、2023年には宇野4丁目に「日々の宿 しののめ」をオープン。
「ここには特別じゃない日常の豊かさがある。それを旅人にも感じてもらいたい。」
田村さんは、玉野の町に根ざし、古民家の宿と新築のカフェを通じて、その思いを届けています。
【日々の宿 あさぼらけ】一棟貸しで暮らすように滞在


「あさぼらけ」は、JR宇野駅から徒歩5分ほど、築港の住宅街にある古民家を改修した一棟貸しの宿。
昭和30年代築の長屋を田村さん自身が丁寧に手を入れ、2019年にオープンしました。
基本情報
日々の宿 あさぼらけ
- 住所:岡山県玉野市宇野4-14-24
- チェックイン:16時〜21時
- チェックアウト:12時
- 浴室:シャワーのみ(宇野港すぐ近くにスーパー銭湯があります)
- 食事:なし(近隣に飲食店とスーパーがあります)
- 駐車場:あり
- 公式サイト:https://hibiyado.jp/about/
コンセプトは「暮らすように泊まる」


「あさぼらけ」は1日1組限定の貸切宿。
玄関を開けると、土間、板張りの廊下、障子や襖を活かした和の造り。
2階には寝室、1階にはリビングダイニング、キッチン、お風呂、トイレを完備。
田村さんが意識したのは「非日常を演出する」よりも「町に住んでいるような感覚」。
観光スポットを詰め込むのではなく、宿を拠点に町を歩き、近所の人に挨拶し、港まで散歩して、夜は静かな宇野の音を聴く。
そんな滞在を提案します。
余白を楽しむ空間


- テレビは置かず、本を読んだり話をしたり、静かに考えごとをする時間を大切に。
- キッチンで簡単な自炊を楽しむ。
- 窓を開けて町の空気を感じる。
- 近所の銭湯に出かける。
訪れる人が「こんな旅もいいな」と思える、ゆるやかな時間を用意してくれる宿です。
【日々の宿 しののめ】和洋折衷の町家を活かしたもう一つの宿


「あさぼらけ」から歩いて10分ほど、宇野駅からもアクセスしやすい場所にある「しののめ」。
2023年にオープンした、こちらも田村さんが手がけた古民家改修の宿です。
基本情報
日々の宿 しののめ
- 住所:岡山県玉野市宇野4-5-7
- チェックイン:16時〜21時
- チェックアウト:12時
- 浴室:シャワーのみ(宇野港すぐ近くにスーパー銭湯があります)
- 食事:なし(近隣に飲食店とスーパーがあります)
- 駐車場:あり
- 公式サイト:https://hibiyado.jp/shinonome/
大正期の和洋折衷建築を活かす


「しののめ」は大正時代築の和洋折衷の町家を改修。
格子戸、漆喰の壁、古い階段箪笥、繊細な欄間や建具。
外観も内部も、当時の意匠を残しつつ、滞在しやすい快適さを備えています。
「あさぼらけ」との対比


- 「あさぼらけ」が昭和の長屋の素朴さを活かしたのに対し、「しののめ」は大正期の重厚感ある町家。
- 和室も洋間もあり、家族やグループにも対応しやすい間取り。
- 伝統的な意匠と現代的な使いやすさを融合。
「しののめ」の滞在スタイル


- 大きな和室でみんなでお茶を飲む
- 階段箪笥を眺めてその時代を想像する
- 町の人と会話をしながら近所を散歩する
- 夜は港の静けさを感じる
ここでもテレビはありません。
代わりに、普段は置き去りにしがちな「対話」や「思索」の時間をゆっくり楽しめます。
【日々のカフェ】新築で洗練されたもう一つの顔


「日々の宿」の二つとは対照的に、新築で現代的な美しさを持つのが「日々のカフェ」。
2021年にオープンし、田村さんが宿とはまた違うコンセプトを形にしました。
基本情報
日々のカフェ
- 住所:岡山県岡山市南区西高崎62-23
- 電話:086-239-7073
- 営業時間:8時〜21時
- 定休日:なし
- 公式サイト:https://hibicafe.jp/
- 公式Instagram:https://www.instagram.com/hibicafe/
「人が自然に集まる場所」


- 洗練されたデザイン。
- 大きな窓からたっぷりの光が差し込み、外とのつながりを感じさせる。
- 地元の人も、旅の途中で寄る人も、同じ空間で自然に交流することができる。
メニューの魅力


- 自家製シロップを使ったドリンク
- 県内産の食材を中心にした軽食
- 季節の果物を使ったスイーツ
甘すぎず、飾りすぎず、「おいしいってこういうことだ」と感じさせる味。
人気の自家製ジンジャーエールや、季節ごとのシロップソーダは、散策の合間の一杯に最適。
宿とのコントラスト


- 「あさぼらけ」「しののめ」は古民家の味わいを残した静かな滞在の場。
- 「日々のカフェ」は光が注ぎ、モダンで洗練された「開かれた場」。
- 旅人と町の人が交わる「日常のリビングルーム」のような役割。
まとめ
田村元弘さんが手がける「日々の宿 あさぼらけ」「日々の宿 しののめ」「日々のカフェ」は、それぞれが別の場所で、違う表情を持ちながらも「日々をていねいに」という共通の想いでつながっています。
- 「あさぼらけ」は一棟貸しの長屋を活かした素朴な宿。
- 「しののめ」は大正期の町家を活かした重厚感ある宿。
- 「日々のカフェ」は新築でスタイリッシュに人を迎える開かれた場所。
玉野という少し寂れた港町で、人と人、旅と暮らしをつなぐ小さな拠点。
観光名所を巡るだけでは味わえない、「その町に少し住んだような旅」を求める人にこそ、この3つの場所を心からおすすめします。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。