かつて日本最大のレシピ投稿サイトとして圧倒的な存在感を誇ったクックパッドが、2026年現在、深刻な低迷局面に入っている。
株価はピーク時の2880円から150円台まで下落し、ユーザー数や有料会員数も減少が続く。
料理研究家リュウジ氏の「自業自得」との投稿が象徴するように、クリエイター離れやサービス設計への批判が強まっている。
一方、動画レシピを武器にデリッシュキッチンやクラシルが急成長し、業界構図は大きく変わりつつある。何が起きたのか、衰退の構造と競合の勢いを整理する。
事件概要
2026年2月、クックパッドの業績低迷と株価の大幅下落が改めて注目を集めた。
株価は最高値2880円から151円前後まで下落し、プレミアム会員数の減少や売上の落ち込みが続いている。
こうした状況を受け、料理研究家リュウジ氏がXで批判投稿を行い、議論が一気に拡散した。
報道によると、売上や利益は大幅に減少し、ユーザー離れの進行が深刻化していると指摘されている。
時系列整理
クックパッドは2000年代後半から2010年代にかけて、日本最大級のレシピ投稿サイトとして成長した。
家庭料理検索の定番サービスとなり、投稿レシピ数とユーザー数を武器に市場を独占状態に近い形で維持していた。
しかし2010年代後半から状況は変わる。動画レシピアプリの登場により、調理手順を視覚的に確認できるサービスが急速に普及。ユーザーの検索行動はテキスト中心から動画中心へとシフトしていった。
2025年決算では売上・利益ともに大きく減少し、会員数も減少傾向が続いた。2026年2月には株価が150円台で推移し、構造的な衰退が改めて話題となった。
同時期、料理研究家リュウジ氏の投稿が拡散。クリエイターへの還元不足や仕組みの問題を指摘する声が広がり、議論がSNSで加速した。
人物プロフィール(リュウジ氏)
リュウジ氏はSNSやYouTubeで人気を持つ料理研究家で、家庭で再現しやすいレシピや酒に合う料理提案で支持を集めている。
シンプルな工程と強い味付けを特徴とする「バズレシピ」シリーズで知られ、若年層を中心に影響力の大きい料理インフルエンサーの一人とされる。
今回の投稿では、レシピ投稿者への利益還元が乏しい仕組みを問題視し、「良い料理家は離れる」と指摘。投稿は短時間で拡散し、業界の構造問題に関心が集まるきっかけとなった。
問題点・背景分析
① クリエイター還元不足の構造
指摘されている最大の問題は、投稿者への報酬構造の弱さだ。
ランキング上位でも直接収益につながらない仕組みが続き、プロ料理家や人気投稿者が外部プラットフォームへ移行する流れが生まれたとされる。
コンテンツを生み出す側の流出は、レシピの質低下や新規投稿減少を招き、結果的にユーザー離れにつながる循環を生んだ。
② 有料化と検索体験の悪化
SNSでは「検索結果が有料会員限定になる」「レシピが多すぎて探しにくい」といった不満も広がっている。
選択肢の過剰と検索制限が、ユーザー体験を損ねた可能性が指摘されている。
③ 動画化への対応遅れ
料理サービスは現在、動画が主流になっている。
クラシルやデリッシュキッチンは短時間動画を武器に急成長し、調理工程を視覚的に理解できる利便性でユーザーを獲得している。
テキスト主体のクックパッドとの差は、利用シーンの変化とともに広がった。
④ 競合の成長が鮮明
報道では、デリッシュキッチンは月間利用者3200万人規模、クラシルはダウンロード数4400万超と拡大が続いているとされる。
動画・プロ監修・小売連携といった戦略が、日常利用の導線を強化している点が特徴だ。
SNS反応
SNSでは批判的な声が目立つ。
・「良い料理家が離れたら衰退は当然」
・「YouTubeやTikTokの方が収益になる」
・「広告が多くて使いにくい」
一方で、長年の利用者からは「無料投稿文化だったのだから当然」「昔は便利だった」といった擁護も見られる。
全体としては、サービス設計への疑問が広がる流れが強い。
今後の焦点
今後の焦点は大きく三つある。
一つは、投稿者への収益還元の見直し。
コンテンツプラットフォームとして存続するには、クリエイターとの関係修復が不可欠と見られる。
二つ目は、動画・AIなど新しい調理支援領域への適応。
競合が動画と購買連携で成長している以上、テキスト中心モデルのままでは回復は難しいとの見方がある。
三つ目は、ブランドの再定義だ。
かつての「家庭料理検索の標準」から、新しい役割を見つけられるかが分岐点になる。
まとめ
クックパッドの低迷は単なる業績悪化ではなく、コンテンツプラットフォームとしての構造的な転換点にある。
投稿者への還元不足、検索体験の変化、動画時代への適応遅れといった複数の要因が重なり、競合に主導権を奪われた形だ。
今回の議論は一企業の問題にとどまらず、ユーザー投稿型サービスが抱える構造課題を浮き彫りにしたとも言える。
今後の立て直しが成功するかどうかは、クリエイター・ユーザー双方にとって価値ある仕組みを再構築できるかにかかっている。

