2026年4月に開学した武雄アジア大学が、いきなり厳しい逆風にさらされています。
初年度の入学予定者は定員140人に対して39人にとどまり、充足率は3割未満でした。
しかも大学整備をめぐっては、武雄市13億円、佐賀県6億5000万円、あわせて19.5億円の公費投入が行われており、「この巨額補助に見合う成果だったのか」という批判が一気に強まっています。
そこで注目されているのが、大学設置を主導してきた今村正治氏です。
今村正治は何者?
今村正治氏は、学校法人立命館で長年事務方としてキャリアを積み、立命館アジア太平洋大学(APU)の副学長や学校法人立命館の常務理事も務めた人物です。
1958年11月29日生まれの大阪市出身で、1981年に立命館大学文学部を卒業後、学校法人立命館に入職しました。
財務部長、総務部長、総合企画部長を歴任し、2014年には立命館アジア太平洋大学副学長・学校法人立命館常務理事に就任。
2019年の定年退職後は学園経営コンサルタントとして活動し、2022年以降は学校法人旭学園が運営する佐賀女子短期大学の学長として、武雄アジア大学の構想を前面で引っ張ってきたことで知られます。
プロフィール


今村正治(いまむら まさはる)
- 生年月日:1958年11月29日
- 出身地:大阪市
- 最終学歴:立命館大学文学部卒業
- 主な経歴:学校法人立命館職員、財務部長、総務部長、総合企画部長、立命館アジア太平洋大学副学長、学校法人立命館常務理事、佐賀女子短期大学学長など
武雄アジア大学について


概要
武雄アジア大学
- 所在地:佐賀県武雄市武雄町大字武雄4814
- 電話番号:0954-30-0033(学務課) 0954-30-0035(入試・広報課)
- 学部:東アジア地域共創学部
- 学科:東アジア地域共創学科
- 入学定員:140人
- 収容定員:560人
- 設置者:学校法人旭学園
特徴
武雄アジア大学は、2026年春に開学した私立大学で、東アジア地域共創学部の1学部1学科体制です。
学びの柱としては、地域理解、国際理解、経済・経営、観光、まちづくり、メディア・コンテンツなどが掲げられており、地域活性化や地域ビジネスに貢献できる人材育成を目標にしています。
もともと構想段階では複数の学部案もありましたが、最終的には1学部構成での開学となりました。
定員140人に対して39人 なぜここまで集まらなかったのか
2026年3月時点で公表された初年度の入学予定者数は39人で、定員140人の3割にも届きませんでした。
報道では、大学側は募集開始の遅れや説明会の不足を理由として挙げていますが、地方の新設私大という条件自体が厳しかったことも大きいとみられています。
武雄市側は、アンケートでは定員を満たす進学意向者の回答を得ていたとして大学誘致を進めてきましたが、実際の入学者確保では見通しの甘さが露呈した形です。
19.5億円補助金の中身とは
この大学には、武雄市が13億円、佐賀県が6億5000万円、合計19.5億円の補助金を投入しています。
総事業費は36億円とされており、その半分超を公費が占める構図です。
市は「若者流出を食い止める」「地域の学びの場を増やす」といった理由で支援を正当化してきましたが、開学直前の段階で定員割れが明らかになったことで、市民や議会からは「見込み違いでは済まされない」「税金の使い方として妥当だったのか」との批判が強まりました。
19.5億円は無駄だったのか
ここが最大の争点です。大学が今後きちんと学生を集め、地域に人材や経済効果を生み出せるなら、公費投入は将来的に一定の意味を持つ可能性があります。
しかし、初年度の時点で定員の3割にも届かず、経営の安定性が不透明な状態では、「現時点では極めて重い失敗スタート」と見られても仕方がありません。
大学は一度つくれば終わりではなく、毎年安定して学生を確保しなければ維持できません。
今回の39人という数字は、その前提を大きく揺るがすものでした。
今村正治に責任はあるのか
今村正治氏は、武雄アジア大学構想の推進役として強い存在感を持ってきました。
APUの設立に深く関わった経歴を持つことから、「地方から世界につながる大学づくり」を期待された人物でもあります。
ただし、武雄アジア大学の公式サイトでは、開学直前時点の「学長予定者」として小長谷有紀氏が前面に出ており、実際の大学トップ体制は今村氏単独ではありません。
それでも、構想段階から旭学園側の顔として大学新設を主導してきた人物である以上、今回の定員大幅割れについて道義的責任を問われるのは避けられません。
少なくとも「少子化の中でも学生は集まる」という読みが外れたことは、設置側の責任として厳しく見られる部分です。
学校法人旭学園とはどんな法人か
学校法人旭学園は、佐賀県佐賀市に本部を置き、佐賀女子短期大学、佐賀女子短期大学付属佐賀女子高校、こども園などを運営してきた教育法人です。
18歳人口の減少が進む中で、短大だけでは先細りになるという危機感から、4年制大学への転換を生き残り戦略として進めてきました。
理事長は内田信子氏で、大学ポートレートでも武雄アジア大学を設置学校の一つとして掲載しています。
つまり、武雄アジア大学の失敗は単なる新設大学単独の問題ではなく、旭学園全体の経営にも重くのしかかる問題だと言えます。
武雄市はこれからどうなるのか
武雄市の小松市長は、入学予定者39人という結果について「期待していた結果ではなく残念」「自分にも責任がある」と述べています。
今後は来年度以降の学生確保の見通しを市民に示す必要があるとしていますが、言葉だけで信頼が戻る段階ではありません。
少なくとも、なぜ強気の構想がここまで外れたのか、どこに需要予測の甘さがあったのか、公金投入の判断は適切だったのかを、行政と学校法人の双方が具体的に説明する必要があります。
まとめ

武雄アジア大学の定員大幅割れは、単なる新設大学の苦戦ではなく、地方私大新設の難しさ、公費投入の重さ、そして設置を主導した人物の責任が一気に噴き出した問題です。
今村正治氏は、立命館やAPUで実績を積んだ大学経営のプロとして期待されましたが、その経験を持ってしても、武雄アジア大学のスタートは極めて厳しいものになりました。
定員140人に対し39人、そして19.5億円の補助金。
この数字の重さを前に、今後は「地方創生の希望」として語る段階ではなく、誰がどの判断をし、その結果をどう引き受けるのかが厳しく問われる局面に入っています。

