2026年3月、北海道沙流郡日高町にある競走馬生産牧場「有限会社浜本牧場」で、生後間もない仔馬を地面に押さえつけるなどの様子がライブ配信に映り込み、SNS上で大きな批判が広がった。
牧場側は当初、人の安全を守るための「しつけ」だとして強く反論したが、その後に対応を一転。
不適切な行為だったと認め、馬に恐怖とストレスを与えたことを謝罪した。
問題の仔馬と母馬は、牧場「NASU FARM VILLAGE」を運営する紗栄子が保護目的で購入。
仔馬は2月14日生まれだったことから「バレンタイン」と名付けられ、母馬のアールヴヘイムとともに新たな環境で暮らしている。
この記事では、動画に何が映っていたのか、浜本牧場の反論と謝罪、紗栄子が親子馬を保護した経緯、現在の様子、浜本牧場の基本情報と代表的な生産馬を整理する。
有限会社浜本牧場について

基本情報
有限会社浜本牧場
- 所在地:北海道沙流郡日高町豊田102
- 電話番号:01456-5-2466
- 代表者名:濱本泰彰
- 事業内容:競走馬の生産・飼養管理
- 法人番号:3430002062843
- 見学:原則不可
特徴

有限会社浜本牧場は、日本有数のサラブレッド生産地である北海道日高地方で、長年にわたり競走馬を生産してきた牧場だ。
昭和初期に創業したとされ、家族経営の牧場として代々受け継がれてきた。2
026年3月の問題では、4代目とされる浜本雅俊氏の名義で謝罪文が公表されている。
浜本牧場の代表的な生産馬


浜本牧場の名前が広く知られるきっかけとなったのが、GⅠ馬ツルマルボーイだ。
2004年の安田記念を制した名馬で、当時の競馬ファンに強い印象を残した。
また短距離路線で活躍したカノヤザクラや、小倉2歳ステークスや阪神カップを勝ったシュウジも浜本牧場の生産馬として知られている。
こうした実績から、浜本牧場は日高地方の中でも長く競走馬を送り出してきた牧場のひとつといる。
現在も中央・地方競馬に馬を送り出しており、継続的に競馬界に関わっている牧場だ。
仔馬の動画には何が映っていたのか
騒動の発端は、2026年3月中旬に撮影されたとみられる「仔馬カメラ」のライブ配信映像だった。
映像には、浜本牧場のスタッフとみられる人物が、生まれて間もない仔馬を首付近から地面へ押さえつけ、強い口調で叱りながら、叩く、蹴ると受け止められる場面が映っていた。
仔馬が逃げようとする様子や、近くにいた母馬が落ち着かない様子も確認され、映像の一部がSNSで急速に拡散された。
動画を見た競馬ファンだけでなく、元騎手や生産関係者からも、通常のしつけを超えているのではないかとの批判が相次いだ。
一方、映像はライブ配信の一部を切り取ったものでもあり、その前後に何があったのかは動画だけではすべて確認できない。ただし、牧場側は後に行為そのものを「不適切だった」と認めている。
浜本牧場は当初「人の安全第一」と反論

動画が拡散された直後、浜本牧場の公式Xは、人の安全を最優先にする必要があるとして反論した。
投稿では、牧場は動物愛護団体ではないこと、理想論だけでは馬を育てられないこと、人へ危害を加える行動は許さないことなどを強い言葉で主張した。
馬が大型動物である以上、安全確保が必要だという考え方自体には理解を示す声もあった。
一方、問題となった仔馬への具体的な行為を正当化するような内容や、批判者へ挑発的に応じる姿勢には、さらに強い反発が集まった。
映像だけでなく、炎上後の情報発信も騒動を拡大させた形となった。
- 愛護団体じゃない
- 理想論で馬は育たない
- ワガママは許さない
- 人の安全第一
- 「人に危害を加える事は絶対に許さない」
- 「参りました。となるまで許さない」
- 「人間に向かってくるなど言語道断」
公式Xを削除し浜本雅俊が謝罪


2026年3月17日、浜本牧場の公式Xアカウントは削除された。
同日夜には「仔馬カメラ」のアカウントを通じ、浜本雅俊氏名義の謝罪文が公開された。
謝罪文では、自身の不適切な行為によって預かっている馬に恐怖とストレスを与えたことを認め、「しつけや管理の名で正当化できるものでもありません」と説明した。
さらに、動画拡散後のSNS上での発言も不誠実で配慮を欠いていたとして謝罪。
アカウント削除についても、批判から逃げるような対応となり、不信と混乱を広げたと認めた。
紗栄子が母馬と仔馬を保護目的で購入

動画が拡散された後、タレントで実業家の紗栄子が現地へ向かい、問題の仔馬と母馬を保護するために動いた。
紗栄子は栃木県大田原市で、引退馬などの保護やセカンドライフ支援に取り組む「NASU FARM VILLAGE」を運営している。
2026年3月18日、紗栄子はSNSで、心配されていた仔馬のために行動を始めていると報告。
その後、動画に映っていた親子馬を保護目的で購入したことを明らかにした。
仔馬だけを母馬から引き離すのではなく、母馬と一緒に引き取る判断がなされた。
紗栄子は現場で状況を確認し、関係者とも対話したと説明している。
仔馬の名前は「バレンタイン」
保護された仔馬は2026年2月14日生まれだったことから、「バレンタイン」と名付けられた。
母馬の名前は「アールヴヘイム」で、2026年7月に公開された紹介では5歳とされている。
また、保護時にはアールヴヘイムのお腹に新たな命が宿っている可能性も伝えられた。
妊娠の確定やその後については、慎重に見守られている段階とみられる。
NASU FARM VILLAGEは、アールヴヘイムとバレンタインを「新しい家族」として正式に紹介している。
「しつけ」と「虐待」の境界が問われた問題
競走馬の育成現場では、人の安全を守るためのしつけが欠かせない。
しかし、安全確保を理由にすれば、どのような行為でも許されるわけではない。
今回の問題では、生産者や元騎手からも、力で押さえつける方法ではなく、人と馬の信頼関係を築く必要があるとの声が相次いだ。
牧場側も最終的には、動画に映った行為はしつけや管理の名で正当化できないと認めている。
ライブカメラによって閉鎖的になりやすい生産現場の様子が可視化されたことは、競走馬の飼養管理やアニマルウェルフェアを考える大きなきっかけとなった。
騒動の時系列
2026年2月14日 仔馬が誕生
後に「バレンタイン」と名付けられる仔馬が誕生した。
2026年3月中旬 ライブ配信の映像が拡散
「仔馬カメラ」の配信に、生後間もない仔馬を地面へ押さえつけるなどの場面が映り込み、SNSで拡散された。
2026年3月16日ごろ 公式Xが反論
浜本牧場側は、人の安全を最優先にしたしつけだとの立場を示し、批判者へ強い言葉で反論した。
2026年3月17日 公式Xを削除して謝罪
浜本牧場の公式Xが削除され、同日夜に浜本雅俊氏名義の謝罪文が「仔馬カメラ」を通じて公開された。
2026年3月18日 紗栄子が保護へ動く
紗栄子がSNSで、問題の仔馬のために行動を始めていると報告した。
動物保護団体は同日、北海道警察へ刑事告発状を提出したと公表した。
2026年3月20日ごろ 親子馬の購入を公表
紗栄子が、動画に映っていた仔馬と母馬を保護目的で購入したことを明らかにした。
2026年3月23日 NASU FARM VILLAGEが正式発表
母馬アールヴヘイムと仔馬バレンタインを新しい家族として迎えたと発表した。
親子は北海道のウイニングスタッド千歳で預託されていると説明された。
2026年4月以降 親子の近況を継続発信
紗栄子や関連アカウントが、放牧地で過ごすバレンタイン親子の様子を公開。
親子が新しい環境で暮らしていることが伝えられた。
2026年7月 保護馬として改めて紹介
紗栄子の牧場運営を取り上げたインタビューで、アールヴヘイムとバレンタインがNASU FARM VILLAGEの保護馬として紹介された。
まとめ

有限会社浜本牧場は、ツルマルボーイ、カノヤザクラ、シュウジなどの活躍馬を生産してきた北海道日高地方の競走馬生産牧場だ。
しかし2026年3月、生後間もない仔馬を地面へ押さえつけるなどの映像がSNSで拡散され、「虐待ではないか」と大きな批判を受けた。
牧場側は当初、人の安全のためのしつけだと反論したものの、その後は不適切な行為だったと認めて謝罪。
動物保護団体は動物愛護管理法違反の疑いで刑事告発状を提出したと公表しているが、2026年8月12日時点で刑事処分は明らかになっていない。
問題の仔馬は「バレンタイン」と名付けられ、母馬アールヴヘイムとともに紗栄子側が保護目的で購入した。
親子はNASU FARM VILLAGEの新しい家族となり、北海道のウイニングスタッド千歳で預託されながら、穏やかに過ごす様子が発信されている。
今回の騒動は、競走馬育成に必要なしつけと、動物へ恐怖や苦痛を与える行為の境界を改めて問い直す問題となった。
今後は捜査機関や行政の判断に加え、浜本牧場がどのような再発防止策を実行するのかが注目される。

