外資系大手生命保険会社 プルデンシャル生命保険株式会社(以下、プルデンシャル生命)を巡る大規模な不正事件が、2026年に明るみに出ました。
社員・元社員合わせて100人以上が顧客から計約31億円を不適切に受領していたという事実は、単なる“社員の不正”というレベルではなく、企業文化とガバナンスの欠如が生んだ重大な社会問題だと言わざるをえません。
今回は、事件の概要、発覚に至った経緯、間原寛社長の記者会見での対応とその問題点、そして今後の課題についてまとめます。
プルデンシャル生命について

プルデンシャル生命
- 住所:東京都千代田区永田町2-13-10 プルデンシャルタワー
- 設立:1987年10月
- 事業内容:生命保険業及びそれに付随する業務
- 資本金:290億円
- 主たる役員:代表取締役社長 間原寛(まばら かん)
- 従業員数:6,619人(うちライフプランナー数:4,356人)
- 営業拠点数:143支社
- 保険料等収入:1兆5,572億円
- 保有契約件数:462万7,793件
- 保有契約高:44兆9,388億円
*数字は2024年度末のものです
ミヤカツ驚くほどの巨大な組織ですね!!
この規模で詐欺行為をされたら、顧客は太刀打ち出来るはずないです。
事件の概要──元社員含む100人以上が関与


プルデンシャル生命は、2026年1月に社内調査の結果として長年にわたり多数の社員・元社員が顧客から不適切に金銭を受領していたことを公表しました。
調査によれば
- 社員・元社員合わせて106人が関与
- 顧客約500人から総額31億円超の金銭を不適切に受領
- 詐取の手口は、架空の投資話の持ちかけや、会社名を悪用した不正な金銭受領など多岐にわたる
という非常に深刻な内容です。
この数字の大きさは、外部から見れば“偶発的な不正”の域を超えており、10年以上にわたって繰り返されていた可能性がある不祥事であることが指摘されています。
発覚のきっかけと過去の逮捕例
この問題が表面化したきっかけは、2024年に起きた元社員の逮捕です。
石川県警が元社員を投資名目の詐欺容疑で逮捕し、その後も数件の不適切な金銭受領が発覚しました。
これを受けてプルデンシャル生命は全社的な調査を開始しました。
結果として会社の調査では、数千万円単位の詐取事案が積み重なり、総額31億円に達した可能性が明らかになっています。
このような大規模な不祥事は、単なる個別の事件ではなく、会社全体の営業・人事・管理体制が機能不全に陥っていた可能性を示唆しています。
間原寛社長の記者会見──対応の不誠実さが批判に




事件発覚後の2026年1月23日、プルデンシャル生命は都内で記者会見を開き、当時の代表取締役社長兼CEOである間原寛氏が謝罪しました。間原氏は
- 「被害に遭われたお客様に多大なる不安とご迷惑をおかけしていることを心よりおわび申し上げる」
- 「第三者委員会を設置し、被害補償を進める」
などと述べています。
しかし、会見の運営や対応には以下のような問題が指摘されています:
○ 質問の制限
会見では、参加できる記者が当初日銀記者クラブ加盟社などに限定され、質問が制限される不自然な運営が行われたとの指摘があります。
結果として後列の記者に質問機会が回るまで時間がかかり、不誠実な印象を与えました。
○ 退任後の退職金・顧問案への不満
間原氏は辞任を発表したものの、高額な退職金や顧問就任の可能性が取りざたされ、責任の取り方が不十分との批判が寄せられました。
○ 透明性の欠如
被害補償の見通しや内部管理責任について具体的な説明が曖昧であり、金融機関としての誠意ある対応が欠けていると受け取られました。
このような対応は、社会的信頼を失った企業としての反省というより、**事後対策としての“形だけの対応”に終始した印象を強めています。
巨額不正を可能にした“成果主義”の構造




報道によれば、プルデンシャル生命では成果主義や高額報酬制度が営業力強化の原動力とされてきましたが、それが裏目に出た側面もあると指摘されています。
業界でも珍しい高額報酬体系を背景に、「稼げば評価される」という風土が不正な行為を誘発したとの分析もあります。
つまり、トップダウンでの倫理教育や内部統制が欠けた企業文化が、社員による組織的な不正を生み出した可能性が議論されているのです。
顧客への補償と今後の課題
プルデンシャル生命は、第三者委員会を設置して不正事案ごとの補償額を認定し、全額補償する方針を表明しています。
しかし、依然として23億円超が未返金のままとされる報道もあり、すべての被害者が救済されるかどうかは不透明です。
また、企業として再発防止に向けた内部管理制度の見直しがどこまで実効性のあるものとなるかも問われています。
まとめ:巨額詐取事件は単なる“個別の不祥事”ではない


プルデンシャル生命の事件は、外資系大手生命保険会社としての信頼を根底から揺るがす大規模な不祥事です。
106人という多数の社員が関与し、数十年にわたって続いた可能性のある不適切な金銭受領は、単なる社員の悪行とは片付けられません。
また、間原社長の記者会見や経営トップの責任の取り方についても、説明責任や透明性が欠けているとの批判が根強い状況です。
今回の事件は、生命保険会社が本来果たすべき「顧客の安心と信頼」を裏切っただけでなく、金融業界全体への信頼低下を招く可能性があります。
法令遵守と倫理観に基づく組織文化改革が急務であり、もはや形式的な謝罪や人事異動だけでは信頼回復は困難と言えるでしょう。










